第二章、⑤
女性はわざわざ広間へ行き大絶叫する。
「きいやややややあああああああああああ!!!」
騒がしい会場が女性の金切り声で、瞬時に静まり返った。
やがて物々しい騒々しさへと変わる会場。
シスコとトラマツは何事かとお互いの顔を見合わせた。
舞踏会は混沌とする。
ほどなくして、警察がやって来た。
現場の総指揮者である張警部は恰幅の言い女性から事情聴取をしていた。
シスコの横でモエは固まっている。
女性は何度もモエを指さし、興奮した口調で喚き散らしている。
おおよその察しはつくので彼女の表情は輪をかけ暗い。
トラマツは腕組みをしてじっと成り行きを見守っている。
子どもというのにかなりの落ち着きがある。
しょげかえるモエにシスコは、
「何もしてないんでしょう?」
「勿論!」
「だったら大丈夫。でんと構えていなさい」
「だったらいいんですけど・・・」
モエはヒートアップする女性の声に、ぎゅっとスカートの裾を握りしめた。
やがて、警部は会場の人々に宣言をする。
「ご安心ください。事件は解決しました」
事件解決の報に息を飲み安堵する人たち。
「犯人は・・・お前だ!」
警部はモエを指さす。
「私じゃありません!」
「何を白々しい。このご婦人がお前の犯行を見たと言っているんだぞ」
婦人は自信ありげに、警部を見ながら何度も頷く。
「そんな・・・私が部屋に入った時は、女性の方はすでに倒れていました」
「・・・・・・」
警部はぼそりと、
「そうなんですか?」
と婦人に尋ねた。
「わ、わ、わたしが部屋に入った時は、すでに血まみれの女性がいましたが、あの時の慌てようは絶対あの娘が犯人なのです!」
「違います!」
モエは潔白を叫ぶ。
「・・・・・・」
警部は腕組みをし、考え込む。それから、
「君が妖しいのに変わりはない」
その言葉に大きく頷く婦人。
「私じゃありません」
「では、そうではないと言い切れる証拠は?・・・証明だよ、照明自分が犯人ではないという」
警部は語気を強めて言う。




