第一章、➉
階段をあがる途中、どどどーん、と二度目の爆音が響いた。
地が揺れ、砂や礫が降ってくる。
「モエ!」
シスコの叫び、モエは頷いた。
「急ぎましょう」
一気にかけあがる2人。
2人は地上へ飛び出、爆発で煙のあがる中庭へ駆けだした。
そこに敵はいた。
黒ずくめの男達と、一人だけ格好が違う長らしき男。
長はユンの右手首を掴んで拘束している。
「ユン!」
「モエ!」
姉妹は互いにその名を呼びあった。
長の口角が歪む。
頭巾の下から醜い笑い顔が覗く。
「さて、首尾はどうかな?」
「何の事?」
モエは言う。
「おいおい、こいつの生殺与奪の権利はこちらにあるんだぞ。それを分かって言っているのか」
「知らないっ」
モエはそっぽを向く。
「当局への恩を仇で返すというのか」
「・・・・・・」
モエは男を睨みつけた。
「まぁ、いい。お嬢ちゃんに話を聞けばいい」
「媛に手をだすな!」
モエは毅然と言い放つ。
「・・・こちとら、子どものお使いじゃねぇんだよ!」
男は激昂した。
「やっちまうぞ、こらっ!」
男が部下に目配せ合図をおくろうとして油断した刹那、ユンは拘束を外し男の背後に回り首筋に手刀をあてる。
その右手は光を放つ。
「退きなさい。退かねばこの男を殺す!」
ユンの脅しに、男達は後ずさる。




