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凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ 【書籍6巻発売中!】  作者: しば犬部隊
凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ、最後の日常

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味山只人のメモ

 


 ……

 …



 散らかった部屋、ちいさなちゃぶ台の上に広げられたままのノートが置いてある。




 窓から差し込む温かな光が、あまり丁寧にかかれていない汚い字で殴り書きされたページを照らしている。





 あなたは、それを覗き込んだ。









 ……

 …




 ・神秘の残りカスについて。




 色々考えてみたが、やっぱり答えは分からない。手がかりはクソ耳の届けるヒントだけ。



 TIPS曰く、世界から忘れ去られた神秘、その名残。忘れ去られたって言うことは、当時は本当にそれが存在していたということか?




 あれから、キュウセンボウや、他の連中のことも調べてみた。




 割とキュウセンボウは有名みたいだ。色んな書籍にその名前がちらほら出てくる。




 逆に鬼裂、これは島の公文書館では関連するモンは見つけられなかった。貴崎にでも頼んでもっと話を聞いてみるか?




 あとは、はじまりの火葬者。名前を決めないといけないんだが、どうしたもんか。TIPSやガス男の言葉のままなら、昔いた人類の近縁種、昔学校で習ったジャワ原人に近い奴かもしれない。




 ジャワ? うーん、なんかそれも微妙な気がする。どうしたもんか。







 ・耳について



 あのクソ耳のことを思い出すと今でも鳥肌が立つ。



 あれ以上に気持ち悪くて厄介な化け物を俺は知らない。



 強さも、あれ以上に強い奴なんているのだろうか。




 だが、あのクソ耳の耳糞のおかげでこれまで何度も命拾いしてきたことも事実だ。




 耳クソの力で出来ることを一応メモしておこうと思う。




 ・『録音再生』

 一度聞いたモンを、録音して、そのまま再生することが出来る。これをすると翌日耳垢がねっとりしたり、中耳炎のような痛みがするから嫌いだ。




 でも、使い道は多い。怪物の声を録音して、ソイツより弱い怪物の前で再生するとびびらしたり、追い払ったり出来る。




 アレフチームの前ではあまり使っていない。でもたまに人前で使ったりしてんだよなあ。その内ツッコミ入りそうで怖い。




 TIPSでは、たしか『耳の業』とか呼ばれてる。あまり考えたくねえけど、あのクソ耳が耳穴から言葉を喋ってたのと似たようなもんか?



 なら、あの耳穴から聴こえていた声って……



 考えるのはやめとこ。





 ・『耳の大力』

 コレはほんとに使いどころが難しい。



 あのクソ耳と同じような怪力を短い間であるが使えるようになる。




 一度使えばほぼ必殺だが、確実に使った武器が壊れる。




 この秋の撤退戦、クソ耳との殺し合いで素手で使ってもほぼ同じ力が使えた。これからは素手でも使ってみるか?




 いやでも、急に怪力になったら怪しまれるような。まあ、手斧が砕けてる時点で同じようなもんか。



 まあ最低限のルールとして、人間には使わないでおこう。いくら揉め事があっても、普通の人間ならこんなモン使えば確実に殺しちまう。



 まあ、そんなこと当たり前か。






 ・アレフチームについて



 いい奴らだ。始めは慣れるかどうか心配だったが、今では居心地の良さすら感じる。




 グレンは馬鹿で、クラークはアシュコン(アレタ・アシュフィールドコンプレックス、マジでたまにやばい空気を感じるが俺は何も言わない。ああいうの間に挟まるのはマナー違反だ) だけど2人とも気の良い奴だ。




 アシュフィールドに至っては言わずもがな。たまに何考えてるかわからないけど、それでもアイツは立派な奴だ。




 アイツは、自分の役割を確信している。自分が特別であると自覚してその責任を果たそうと日々を生きている。




 救援要請は必ず受諾するし、どんな危険な環境であっても尻込みしない。




 その振る舞いは人を奮い立たせ、人を魅せる。誰しもがアイツを愛し、褒め称える。




 まさに、英雄って奴だ。



 俺には真似できない。アイツは、自分以外の誰かの為に本気で生きることが出来る奴だ。





 でも、たまに近くで見ていて、なんか妙な気分になる。クラークのように心配でも、他の連中のような憧れでもない、妙な気分。




 気になることもいくつか。撤退戦の後、何かに憑かれたようになっていた。



 俺はとっさにニセフィールドと名付けたが、あれは一体なんだったんだ? 今ではすっかり元どおりだから忘れちまいそうになる。



 アイツも信じられないくらいにあのことを話題にしない。聞きにくいよな、あんな態度取られると。



 一度、起きた妙な出来事。あの変なハンカチと、金髪の女達。




 いかん、考えたらなんか怖くなってきた。やめよ。




 考えたら怖くなることといえば、このアレフチームについても少し気になることがある。



 神秘の残り滓、クソ耳の耳糞。今ではすっかりビックリ人間に近いモンになりつつある俺だけど、割と簡単にこの力を使ってる。




 遺物やら酔いやら、怪物やらがいるせいか、あまりこの力の詳細について根掘り葉掘り聞かれることがあまりない。




 単にアイツらが気づいていないってのは考えにくい。たまにクラークに突っ込まれるが、結局うまく誤魔化して終わりだ。




 でも、あの頭のいいクラークが俺に誤魔化されるか?




 うーん……




 まあ、いいか。明日も早い。



 パーティとかいうが食べ物はどんなモンがあるんだろうか。



 セレブやらなんやらが集まるらしいから、生ハムメロンとかあればいいなあ。




 歯磨いて、ダースソールしてから寝るとしよう。




 うーん、靴底の王ルートに行くための4本目の靴ひもどこにあるんだろうなあ。もう攻略Wiki見ちまおうかなあ。









 ………

 ……






 窓の外から伝わる喧騒が心地よい。




 あなたはノートをゆっくり閉じた。





TIPS€ 味山お気に入りプレイスポット6 ソフト 『ダース・ソール』



靴底を捧げよーー



ニホンの誇る有数のゲームメーカー"ファラム・ソフトの人気シリーズ。



昨今の簡単、手軽に特化したソシャゲブームを真っ向から逆走する超高難易度、硬派、ダークを突き進むアクションRPG。



高度に練られた敵AI、死んで覚えろとばかりのダンジョントラップにこれまで数多くのプレイヤーの心をへし折ってきた。


しかし、繰り返しプレイし続けると次第に攻略法を覚えていく絶妙な難易度、死に覚え可能なボスのアクションなど、一度ハマると抜けられなくなる沼的要素がユーザーの心を掴み大ヒット。


またその一見味気なくも思えるストーリーの簡素さや、説明のなさも豊富なアイテムテキストや登場人物のセリフからユーザーが世界観を想像出来るという通称"ファラム脳"的要素が一部のファンの心を掴んで離さない。



靴底を捧げよ。


それこそが、人間の本当のあり方なのかもしれない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 一気見してから感想に手を出すつもりだったが流石にこれは無理だった。 靴べらを焚べよ
[良い点] 靴底を捧げよ ……ヤバイっすね。足を取られる人が確実に。。
[気になる点] ここの視点が誰かっていつか回収されるのだろうか
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