86話 宴席にて
TIPS€ 逆行ダンジョンの攻略条件は”攻略対象の望みをかなえる事である”
シン……と部屋が静まり返る。
信長が言葉を発した途端、先ほどまで騒ぎまくっていた者達も一斉に黙りこくる。
「どうした、味の字。わぬしにしては珍しい。ん? 相変わらず腹芸の出来ん男よの。図星を突かれた顔をしおって」
1人、涼しい顔をしているのは信長1人。
味山はすぐには言葉を出せなかった。
当然だ、あの織田信長なのだ。しかも本能寺にINしている状態。
そんな状態の織田信長に、わしっていつ死ぬ? と聞かれてみろ、もう黄色信号どころか赤信号なのだ。
なんなら赤信号を無視して交差点に入っている状態なのだ。
どうしようもなさすぎる。
「いや……その……な、なんの話――」
「この信長、建前や気休めが好かんのはわぬしならよく知っておろう。ああ、これが初対面でも、わしの事じゃ、どうせ後世でも大人気! 語り継がれまくっておろう?」
「ああ、はい、確かに……日本じゃアンタの名前を知らない奴はいないだろうけど……」
「「「「「「……」」」」」
周囲の空気が冷たくなる。しまった、他の侍達がとんでもない目でこちらを見つめている。
今、俺の大殿の事アンタっつったか? みたいな目だ。
日常的に殺しを生業にしている存在の殺気は、神秘種や怪物種を前にした時とは違う、より生々しい危機を感じる。
「わしはわぬしには命令せん。何故ならわぬしはわしの臣下じゃないからのう……じゃが、ぜひとも聞きたい。言うてみよ、この信長の首はどこの誰が獲るんか? ん?」
ぱしっ、ぱしっ。
信長の手元で叩かれる扇子の音。
しんとした宴席でそれだけが響く。
「……なんでそう思うんだ?」
味山がそう問うた瞬間、また部屋の空気が変わる。
傍に控える美少年、森蘭丸も、周囲の侍達もなんというか、その、あ、終わったな、コイツ。みたいな顔で味山を見つめて――。
「……余の問いに、質問を返すか?」
物凄い湿り気のある声。
炎を無理やり粘土か何かで固めてぐつぐつと煮えているような……。
TIPS€ 織田信長は問いに即答しない者をひどく嫌う
おい、短気。
もっとコミュケーションしていけよ。
信長は笑みを浮かべたまま、動かない。
なぜそう思ったのかを味山は説明できないが、今すぐこいつ斬れと言われてもおかしくないと感じた。
まあ、その際は非常に残念だが、この場にいる人間全員ぶちのめして脱出方法を探すアホイベントになるだけだ。
味山は、ちょっとめんどくさくなったのでもう黙る事にした。
だってもう、何を言っても何が地雷になるか分からないのだ。
永遠にも等しい無言の時間、それは――。
「……はあ~、わぬしには敵わん。急に黙りこくりおって。……わぬしが黙ると恐ろしいわ。気付かぬうちに、頭を砕かれそうだで」
きゅぽんっ。まるで栓が抜けたように、場に満ちていた緊張感が抜けていった。
その証拠に、固唾をのんでいた武士達が口を開けてぽかんとしていた。
なんだ、その顔……。
蛇がいる飼育箱に餌として放り投げたネズミが丸1日経っても生きてた、みたいな顔だ。
味山は周囲の反応に首を傾げる。
「毒気をすっかり抜かれてもうだ。久しぶりにトサカに来た瞬間に人を殺さんですんだのう」
「沸点低すぎるだろ、あ、やべ」
「――」
つい軽口で突っ込んでしまった。
今度こそ終わったわ、みたいな空気になる宴席。
しかし。
「ふふ、ははははは! うわっはっはっはっはっは!! わぬし! 今、余の事をなんていうた!? 沸点、沸点とな? なんぞ分からぬが、うぬが軽口叩きよった事はわかる! わぬしめ! 味の字、余がまだ吉法師だと勘違いしとるか!? 本当に愛い奴じゃ!! わっはっはっはっはっはっはっは!!」
信長爆笑。
このかっけえババアもうなんだかよくわからない。
「――全く呆けた奴じゃ、わぬしが言うたんじゃ。次会うのが最期。余の命運が尽きるときにわぬしが現れると」
「……誰が?」
「味山只人、おぬしじゃ」
余計な事を言っている奴がいると思ったら自分だった。
「わぬしと出会うんは、これで、ひい、ふう、みい、4度目かの。最後に会うたんは、金ヶ崎の時。くくく、猿めらがおれば腰を抜かしたろう……ああ、今でも思い出すわ。義弟に裏切られ、文字通りの袋のネズミ。腹を掻っ捌こうとした余の頬を張ったのは貴様ぞ?」
「え?」
周囲にひそひそ声が響く。
お館様の頬を? いや、父に聞いた事がある……金ヶ崎の折に南蛮衣装の奇妙なモノがおったと、金の髪の山の神も連れておったとわしはきいたぞ……天棚機姫神の化身じゃ聞いとるぞ、美しい山の神が良かったのう、なんであんな男なんぞ。
断片的に重要な情報だけがひそひそ声に滲んでいた。
「あの時の貴様は余に確かに言うておった。死ぬのはここではない、と。次に会った時こそが滅する時、なんぞ、その時には死に水を取るまで言うておったぞ」
何言ってんだ、そいつ。
味山はあまりにも迂闊な発言にキレそうになっていた。
だが、おかしい。
当然の事ながら自分は織田信長とは初対面。
信長が語る思い出に何1つ心当たりはない。
「まあよい。貴様が何も覚えておらんでも貴様は味山只人よ。余の目に狂いはない。……さて、味の字、話を戻そうぞ。余はどのように死ぬる? ん? 其方はそれをどうしたいんぞ?」
目の前の彼女から感じる、奇妙な魅力と威圧感。
それは、アレタ・アシュフィールドが時折醸し出す雰囲気に似ている。
ヒトでありながら人の枠を外れかけている者の目だ。
「良い、どのような事を言われても罰などは与えぬ。言うてみよ」
こういう目をした人間に、駆け引きや交渉が無意味なのも知っていた。
「天正10年6月2日、織田信長、京、本能寺にて自刃――明智光秀の謀反によって」
宴席が、静まり返る。
次の瞬間には――
「「「「「あ?」」」」
戦国、殺し、戦い、また殺す事を生業とする者達の本物の殺気が味山1人に向かう。
「無礼者め!! お館様が、お館様が自刃などと、ありえぬ!!!!! いくら客人とてそのような世迷言、許せぬ!! ましてや忠臣たる明智殿が謀反などと……!! お館様、許可を!! どうか、どうか、この無礼者、お蘭が斬るお許しを!!」
帯刀していた側近、森蘭丸が刀を抜こうとする。
周囲の馬廻り衆も、互いの獲物に手を伸ばしている。
全員が、今にも味山に斬りかかってもおかしくない、そんな気配だ。
「で、あるか」
「信長、様?」
「よせ、蘭丸。うぬらもじゃ。ここにおる兵、いや、この程度の軍ではこの男は殺せん。本気で味の字を殺すならば、そうじゃのう。最低でも伊勢長島くらいの地獄を作る気でいかねば勝負、いや、遊びにもならん」
「……………お館様」
「おい、お蘭、ここは閨ではない、そのような顔はよせ。無理じゃ、無理無理。味の字を斬れる訳なかろうて。はあ……のう、味の字……1つ余興を頼んでもいいか?」
「あ、ああ。じゃない、はい」
「余の小姓のお蘭、顔は文句もなしの女子であるがどうも父親に似て血の気が多い。このままでは寝物語に小言を言われそうで敵わん、1手で良い、相手をしてやってくれんか?」
「……今、ここでっすか」
「ああ、今ここで、ぞ」
味山は
「どうぞ」
「ほれ、お蘭。良い、斬ってもいいらしいぞ、ただし一手、一太刀のみ」
「――ありがたき」
ゆらり。
小姓、森蘭丸。
最も得意な獲物は、槍であるが、刀の腕も申し分なし。
攻めの三左と呼ばれた父親に、鬼の異名を誇る兄。
華奢で女の身なれど、その一撃は何度も陰に日向に織田信長の敵の首を取ってきた戦国の一撃。
無礼な客をこれ以上、敬愛する主君の傍に置いておく訳には行かない。
首を、斬る。
血しぶきが決して主君に当らぬように計算されたその一撃。
味山の頸椎を立ち、首をずらすように放たれた振り下ろしは。
しかし。
ぎっ。
蘭丸の手元に肉を断った感触は届かず。
「――なッ……」
「っと……あぶね」
防がれる。
箸。箸だ。
箸が、味山只人の使っていた箸が刀身をつまみ、防いでいた。
TIPS€ ”鬼の業” 発動
TIPS€ ”肉体と魂にしみこんだ鬼の業、分か断れた肉に澱む鬼の業は、既に魂にこびりついている。離れていても己が認めた凡人なる主であり友に力を貸す事だろう。河童、原人と同じく、鬼も凡人を好いている故に”
鬼の業、鬼裂の業、技量を一時的に肉体に降ろす味山の牙の1つ。
それは見事に、戦国の武士の刀の一撃を箸で挟み受け止めていた。
「な、なっ」
顔を真っ赤にして狼狽える蘭丸。
「なんじゃ、ありゃあ……」
「たまげた……森の倅の一撃を、箸で……」
「こりゃ、殺せんのう……」
「お前、アレ出来るか?」
「出来る訳あるめえ……」
「武神か?」
「普通のやぼったい顔してるのにのう」
馬廻り衆も口をぽかんと開けたまま、座り込む。
それほどまでに味山の行動は異常だった。
「ふふふふふふふ、うわっはっはっはっはっはっは! こやつ! やりよる!! 相変わらず物の怪の如きよのう!! 皆の者、見たか、これが味の字、味山只人! 金ヶ崎でも桶狭間でも稲生原でも獅子奮迅、鬼神の如き戦働きをした男! わぬしがおれば伊勢長島はもっと、もっと楽しめたろうのう……」
信長が目を細める。
その眼は、良くない目だ。
アレタや貴崎、そしてパンドラなど、ヤバ目の連中がたまにする目だ。
自分の振るう業、自らの才能を楽しむ人間の目。
大抵この目をする奴は人の話を聞かない事を味山はもう知っている。
「くっ……な、なんだ、お前は、なんなのだ、一体……!」
「いや、まあ……気持ちは分かるけど、とりあえず、この刀引いてくれないか? アンタの殿様は1回だけって言ってたろうが」
「…………貴殿の、言う通りだ。お館様のお言葉は絶対……失礼した」
すっと、一瞬刀を引く蘭丸。
素直、そう思った瞬間に――。
「ハッ!!」
もう1回、蘭丸が刀を振り下ろす。
「ハ!! じゃねえんだよ」
「え」
不意打ちを予想し、それにピキっと来ていた味山。
鬼の業と耳の大力を同時使用――ばちっと両手で真剣白刃取りをかます。
そして、そのまま。
「よっと」
「う、わ!!」
バキッ。刀をそのままひねって折る。
元々側面からの力に弱い作りの刀は簡単に折れた。
茫然としている蘭丸。
隙がありすぎるので、そのまま胸元を掴み畳に叩きつけ、上から抑える。
「殿様、アンタの小姓、どうなってんだ?」
「は、離せ!! クソ、クソ!! なんたる、力……!!」
これ以上抵抗するなら骨を折るつもりだ。
「うわっはっはっは! 良い良い! お蘭め、味の字を見て血がたぎったか? 長可の娘なだけはあるのう! 攻めの三左め、女子にも血をきちんと届け負ったか」
酒をぐびぐび飲む信長。
どこかの本であまり信長は酒を飲まないと読んだ記憶があったが……。
「信長、サマ。とりあえずアンタの小姓がいたら話が進まねえ、この子下がらせて貰っていいか?」
「で、あるか。まったくお蘭はしょうがないの~、閨でのわがままを許し過ぎたか? 余も随分愛いままに甘やかしすぎたのかもしれんの~」
とりあえず、話を進めたい。
この逆行ダンジョン攻略の為、信長の生存を――
「良い、殺してええぞ、味の字」
「おう――……え?」
今、なんて言った?
「お、やかた、様……?」
「余は確かに言うた。1回だけじゃと。その1回をモノに出来ず、余の言葉に反し二度目を挑み、そして敗れた、うわははははははは!! お蘭、うぬもまだまだじゃのう~! 鬼武蔵の兄が泣くぞ~! もう要らん――死ね」
「……部下じゃ、ねえのか?」
森蘭丸と言えば、織田信長に寵愛された小姓として有名だ。
美少年かと思っていたが、美少女なのは驚いたが。
「そうよ。閨に連れ込み可愛がっていた寵児である。しかし、もう要らん。――わぬしに無礼を働いた故にな」
「俺に……? そんな理由で……」
味山は普通にドン引いていた。
信長は美味そうに酒を飲み尽くし、吐息を漏らす。
「はは、何を言う、味の字――味山只人、我が運命の稀人よ」
ねっとり。
老境にある女とは思えないほど、その瞳に宿る熱は赤く、濃く。
炉の中で赤々と燃える溶けた鉄のような熱。
「そなた以上に重要なモノなどあろうものか」
TIPS€ 目の前にいるのは――神秘種”第六天魔王”
そう、目の前にいる美しい老女。
燃え盛るような生命力に満ちるこの女は、既に人の域を超えているのだ。
「……殺しはなしだ。現代の価値観で話させて貰うぞ。この程度の事で、人の命が消えていい訳がねえ」
「む? おお! おお! そうか! 未来! 忘れておった、そなた、未来から来たのだったな。良い良い、今日は余の寝室で先の世の話をまた聞かせよ!」
まるで先ほどのやり取りを忘れたかのように
「……この人の助命はOKって事でいいんだな?」
「おーけー? ああ、南蛮言葉で”良い”だったか? しもうた、弥助を使いに出しておったわ。よいよい、わぬしがやめろと言うならやめちゃる! あ! そうじゃ! 今日は閨で蘭丸を抱くと良い! 余が仕込んでいる故にそれなりの作法は備えておる! ふ、ふふふ、そなたは確か、男色の趣はなかったろう? 余を抱かせるのは少し酷故に……。何、安心せい、蘭丸はわぬしへの嫉妬で少々生意気に見えるかもだが……強く抱いてやればすぐに良き声で啼き始めようぞ。抱き心地も感度も夜の退屈を誤魔化すにはちょうどいい」
二イッ。
歪む双眸、美しいが、恐ろしい。
神仏に近いナニカが、人の真似をして――それも限界に近づいてきたような。
「………っ、お館、様……」
蘭丸はひれ伏し、体中を震わせている。
声は震え、涙を称えている。
「お蘭、良かったのう。味の字が甘うて……そのカワイイ首がまだ繋がっておるのは目の前の男のおかげよ」
「は、ははっ……」
土下座のような体勢で畳にひれ伏す蘭丸。
彼女の頭を踏みつけにしながら、信長が優しく囁く。
「しかし、わぬしはその命の恩人にまだ礼も出来ておらぬ……のう、蘭丸。余の命を無視するほど味の字が憎かったか? 余の命令は――其方の小さく下らぬ面子よりも大事だったのか?」
「い、いえ、っ。いえ、決して、決してそのような――」
「では、謝罪と感謝がいるのう……わぬしは余の大事な大事な稀人に粗相を働いた……己が今、出来る謝罪はなんぞと思うかえ?」
「――……そ、それは――」
「分かるのう、お蘭」
「は、は……」
蘭丸が震えたまま、顔を上げる。
恐怖と恥辱と――少しばかりの興奮で顔を赤くして。
「おい……待て、なんだ?」
「味の字、ここのお蘭。わぬしに詫び、礼を言いたいようじゃ、受け取ってやれ」
蘭丸がそっと味山の傍に。
「はあー……っ、はあーっ……味山、様、お清めさせて頂きます、お蘭の舌で、お身体を」
「あ?」
「お蘭の舌は心地よいぞ、味の字。熱く、まるで湯の如き。全身を舐めまわされるだけでも随分と心地よい。何、無礼を働いた詫びぞ。ああ、もしも衆目が気になるなら、全員控えさせるが?」
織田信長――なるほど、後世で語られる通り……まともな奴ではないらしい。
戦国大名、怖い。
「あ、味山、様……」
とんでもない美少女フェイスがすぐそこに。
「先ほどまでのご無礼、誠に、誠に申し訳もございませぬ……お蘭はこれより、お詫びしとう存じます……まずは、舌で全員を清めた後……閨でお身体のこりを……存分に……」
紅潮し、潤んだ瞳。
男女問わず――嗜虐心を煽る光景だ。
それもさっきまではある意味理不尽に突っかかってきた少女が、こんな顔をしていれば余計にそれは燃え上がる。
これが、この時代。
少数のサディストが多数のマゾヒストを従え、物扱いしていた時代。
現代の企業も似たようなものだ。
故に、味山はこういうのが大嫌いだった。
暗黒のサラリーマン時代の血、理不尽な上司ぶっ殺しセンサーがビンビンに反応している。
「どうか、どうか、お楽しみ下さいませ、お蘭を可愛がって頂ければ……」
味山は、気付く。
蘭丸の小さな肩が震えていた。
「いいや、その必要はねえ」
「……え?」
人を舐め腐った存在が大の苦手だ。苦手すぎてみただけでぶち殺したくなる。
だが、同時に――まずいスイッチが入った時のアレタやパンドラと言ったヤバ女との交流で耐性がついていた。まだ、キレてないですよ。
「どうした、味の字? ああ、そうか。やはり衆目があるのは苦手か? では良い。閨の準備をさせようぞ。ああ、蘭丸を味わった後は余の閨に来い。未来の話を数刻ほど聞きたいのだ……光秀めの話は、その後で良かろう」
織田信長に悪びれた様子も何もない。
もう、仕方ないのだ、こういう類の人間は。
本気でぶん殴るか、全力で懐柔するかのどちらかでしかない。
もちろん懐柔一択。
うん、だってそもそも織田信長――この神性を現代に持ち帰る為にここまで来たのだ。
敵対してもしょうがない。
味山の答えは懐柔――
「あ、ダメだ。無理」
「――む?」
「「「「「「え」」」」」」
パンッ。
なんの音、決まっている。
織田前右府信長、その頬を。
「ッ――!!??」
「ちょっと一発殴らせてくれや」
殴った音だった。
「「「「「「「「――」」」」」」」
この場にいる全員、馬廻り衆も、蘭丸も、ただ口をあんぐり開けて固まる。
織田信長なのだ。
もはや天下人、これよりこの国を支配する王たるものを、急に現れた怪しげな者が殴った。
これより、あの男の未来は確定した。
この恐ろしき天下人の怒りを買って生き残った者はいない。
彼女の足元に転がる無数の屍に、味山只人も入るだけ――。
しかし、殴られた天下人はゆっくり、ゆっくり、自分の赤くはれる頬を撫でるだけ。
「……くはっ、殴ってから言うでないわ」
信長の声は、誰も聴いた事のない声。
そして家臣たちが見た事のない――
「大うつけめ♡」
――女の顔をしていた。
読んで頂きありがとうございます。
凡人探索者6巻、発売中です。
凡人探索者7巻も今、書いています。
6巻では結構しっかりWEB版にも絡んでくる事書いてたりするのでweb版をここまで読んでいる人にもおすすめです。
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