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3話 次なる目的地と新たな刺客

それからあっという間に時は過ぎ、感覚で言えば一週間くらいだろうか?

昼の陽気に気持ちよく照らされうとうと寝ようとしていたところに──


「ちょっとあんた今暇?」


なぜかいつも暇を持て余している方から暇か?と呼ばれた。

こっちは毎日情報収集のため店という店に通っているのに……


「あっ、あんたいま自分はいつも暇なくせに、暇かどうか聞くなって思ったでしょ!」


「そらそうでしょ、毎日ゴロゴロして、動いたかな?と思えば自分の好物買ってくるだけ買ってきて食べてまたゴロゴロしてるんですから、僕は毎日右も左もわからない世界での生活だから情報収集してるってのに」


「ふん!それはあんたの仕事でしょ?それに墓地で使った魔力の回復も兼ねてるから天使にも休息は必要ってことよ!」


え?天使であの魔法使って魔力そんなに消費すんの?

魔法に関してはなんとも言えないから追及はせず。


「まぁあの時は助かりましたし、チャラにしておきますよ。それで用ってなんです?」


「ふふふっそれはね食べ物がとても美味しくて有名でしかもお金も稼ぎやすい大帝国【パール帝国】にいくのよ!」


「パール帝国?」


そうそうとそのことについて語り始めた。情報源はお世話になっている酒屋のおじさんらしくその人曰く、今いるところからそう遠くなく、出稼ぎもしに行くくらいだとか。


あっちなみに、ちょうど一週間前に助けた男の人は、ハン・ランドールという。


そんなハンさんは命の恩人だからということで寝泊まりできる宿とお金を「少ししかないですけど」と1000ゴールド?貰った。


一応日本で例えると千円みたいな感覚で良いのかな?そこは後で勉強するとして。


「いや、資金面的にも今その案は合理的です。でも何故今なんです?それに僕自慢じゃないですけど闘えるようなものないですよ?」


「まぁそうね、魔物倒して稼げないことはないでしょうけど、そんな力私達にないからね、あんた魔法使えないし」


そもそもここに来た理由がこの世界を征服しようとしている魔王を倒せとも言われていないし単に逃げて来ただけで目的は何もないし反対の意は無い。


よく読んでいたライトノベルや漫画では、異世界に転生したら、魔法や神の恩恵など受けるものだと思っていたんだけど、いや?ちょっとまてよ?


「リンさん魔法使えてましたよね?あの墓地で」


僕の質問を完全スルーを決めて、買いだめをしていた珍味をつまんでいた。

つまり自分が楽したいだけなんだとはっきりわかった。


本当に天使なのか?そこらへんにいるぐーたらてる人なんじゃないか……

そしてここで決めた、グッと拳に力を込める。リンさんに任せてたらだめだ!やっぱり魔法つかいてぇ!

密かに魔法の勉強をすると決意をする。





女神サイドは、リンの拘束が解けてもなお相変わらずいつもの仕事を続けていた。


「お母様リンはどうします?天使としての仕事を放棄してまで出て行きましたけど」


自分のことを棚に上げて聞くリンと姉妹天使のソル


「そうですね」


美しく神々しく、凛としたたたずまいで玉座に座っている女神ネイトが答える。


「私達の仕事中にリンが何も言わなければ拘束術なんて使わなかったのに……」


「ソル、いいのです。あの子は私と違ってしっかり者です、向こうでもちゃんとやっていけるでしょう。」


「なんか私はお母様と似ているって言われると将来が怖くなってきました」


「ふふっでもね一つだけ二人とも私に似ているところあるのですよ?」


「私達とお母様が?」



「そう、特に貴方は私に近いけれど、どちらも私の怠惰の癖を引き継いでいるのですよ」


「ふぇ?」


予想外の母の発言に素っ頓狂な声を出しているソルを見ながら微笑むネイルは慈愛に満ちていた。


ネイルは若かりし頃、リンと同じしっかり者で頑張り屋だった。そのため周りの天使達に頼りにされそれが嬉しく糧になっていた。


だが天使から女神になった今怠惰癖がついてしまい、周りから怠惰神ネイルとも呼ばれている。


なぜ彼女が怠惰癖がついてしまったのか、それは今までの頑張りが反動になったためだと自分で思っている。


「私の可愛いリン、無事に帰ってくることを祈ります。」


そうして女神サイドはまた迷える魂達を導く?仕事をするのであった。





「リンさんもう出発しますよ〜」


「ちょっと持つの手伝ってくれてもいいじゃないのよ!!」


「そんなの知らないですよ、自分が欲張るからそうなるんですよ。自業自得です」


買い溜めをしていた珍味類を袋一杯に詰めて重くて嘆いていた。


そしてこの日少しの間寝泊まりや食事までお世話になった【湯の魔術師】ことハンさんに挨拶する。後々詳しく調べてわかった事が二つある。


一つ目がこの村は小規模だがここの大陸一番の帝国が一番近いという利点があり、帝国を目指してくる冒険者や傭兵などが来る。


これに関しては村が栄えたりするのだが目の前にはボロボロな村という印象が受けられる。


二つ目は、帝国は、数年前から魔石による貿易が停滞している。ギルドの勢力が衰退してきているため、墓地のとなりにある洞窟に住む魔物がドロップする。そこに魔石が含まれているため、倒す必要があるのだけれども近年魔物が凶暴化してきており倒すのが困難になったため、魔石が取れにくくなってきた。


かくして転生してからはじめにお世話になった村の人たちに挨拶も済まし村を出発した。


「リンさん、ちょっといいですか?」


村をでて早々にふと疑問に思った事を隣で重そうに荷物を持っているリンさんに聞いてみる。


「いいけどこれ持ってくれるなら聞くわよ」


ちっ、そうきたか。でもさすがに女の子一人で背負うには重そうだったので代わりに持ってあげることに。


「んで、どうしたの?」


「そ、そうですねここの世界ってどういう状況なんですか?村のあちこちはボロボロですし」


来た人なら一目でわかるくらいボロい村だった。簡単に説明するならバイ○ハ○ードシリーズに出てきそうな感じだ。


それに普段死んだ人を転生させているなら魔王を倒せ!とか勇者になりなさい!とか世界のピンチ的なのがあるはず!


「うーんよくある世界のピンチになっている転生先は、また別の女神様の役割だし、うちは何だかんだ平穏な世界に転生させて死後も楽しく暮らして生まれ変わったらラッキーだねって感じじゃないかしら」


え、ないの?なにそれ……


「あとずっと引っかかってたんですけど僕って死んだんですか?」


「えぇなんでもねっちゅーしょう?ってのにやられたらしいわよ」


確かにありえなくはないけど、熱中症で死ぬとかテレビでしか見たことないぞ……


「とりあえず僕の死因はわかりました。それとこの世界は平和だということですか……」


「あら、案外あっさりしてるのね」


そりゃそうでしょ。別に特別な思いも向こうにないに等しいし。

まとめると、ギルドの衰退は特に強い魔物などがいないなど他に魔王がいなくて仕事がない。


そして単に稼ぐ為だけに帝国を目指す。

村をたまに襲いにくる魔物を討伐しようにも冒険者達が弱過ぎる。


「この世界理想と違う……」


よくあるこの声の人可愛い!カッコいい!と思っていて、いざ顔を見ると想像と違っていてガッカリ——という気分になった。


「なに言ってんのよ?ほら、さっさと行くわよ」


この世界に肩を落とし後をついて行きながら今後の事を考える。


程なくして村の人から貰った地図に描いてある村とパール帝国の中間地点【ファーブル】という湖に着いた。


森に囲まれた真ん中にある湖ファーブルは、色々な冒険者が野営などするときによる休憩場所らしい。


「へぇー案外いいじゃないの湖も綺麗だし」


「そうですね休憩場所と呼ばれているならなにか不法投棄くらいあると思っていたんですけどそんなこともなかったですね」


ここに来た理由は、流石に徒歩では一日では荷物も多くきつい距離なのでここで一旦野営という形になる。それをリンさんに提案したら結局駄々をこねた。


「はぁなんであんたと寝ないといけないのよ」


「僕は起きてますから安心してください」


「は?起きてる方が不安なんだけど?」


「何をおっしゃる紳士たるもの寝ている子を襲ったりなど言語道断!寝顔を目に焼き付けておくだけでございますよ!」


「うぇ……。あんた、向こうの世界でも結構ヤバい部類の人だったんじゃない?」


くっ!なにそれ傷付く!!単なる本好きの根暗なやつでした!


そんな冗談を言い合える仲までになった事に嬉しさを覚えている自分が恥ずかしい……。


まぁ?向こうではぼっちだったし?女の子との会話なんて母親くらいしかなかったもん!!あー、なるほどそう考えると言われてる通りやばい部類の人だね!!


「それに魔法使いなれたかも知れないわね」


「why!?」


「ネイル様が昔にね、やけに長いこと魂と話していたときがあったのそしたらその魂はあんたと同じ所から来たらしいのよ」


あーなるほどこれは日本人ならすぐわかる事だね!

よく聞くけどどこからそんな言葉が生まれてくるんだろ?


「私も遠くにいたしそんなにはっきり聞こえたわけじゃないけど30歳になると魔法使いになれるって」


やっぱりですか。それでモテそうにない僕に魔法使いになれるよと言ったのか。


まぁ肝心なところを聞いていないっぽいし、大丈夫だろう。


そんな話をしながらも野営準備も終わりあたりは真っ暗だった。


火の呪文が書かれた紙を懐から取り出しあらかじめ集めておいた薪に火をつける。


「おお!魔法を使った気分ですよ!」


「へぇそんなことで喜べたら本物を体験したら死ぬんじゃないの?」


その自信あるから否定できない。

オタクの夢ですぜ?人生一回は魔法使ってみたいでしょ!!


何だかんだ明かりもあり寝る準備もできた。そして自然と僕がしばらくの間見張りをすることに。夜は慣れてるから別にいいんだけどね。


「それじゃあ私もう寝るけど変なことしたらアンデットにするわよ?」


「え、なにそれこわい」


ジト目でこっちを視てくるけどそんなことする度胸ないですって……。

また寝る体制に入ったリンさん。よし頃合い見て僕も寝るか……。





「クフフッ良く一人は寝ておるな、ようわからんオーラを纏ったやつと禍々しいオーラを感じ取ってきてみればまだ青い生娘と何と頼りない者よのぉ」

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