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第85話 勇者の魔法

その夜、オレは前々から気になっていたことをゲネオスに尋ねた。

「ゲネオス、オレは街の酒場で仲間を集めたとき、魔法使いと僧侶だけでなく勇者も魔法が使えると聞いていた。だけどゲネオスが魔法を使ったことはないよな」

ゲネオスは困った顔をして答えた。

「使えることは使えると思う……多分」

「多分?」

「使った記憶も使えた記憶もあるんだけど、なぜかそれ以前の記憶が飛んでいるんだ」

「え?」


ゲネオスによると、かつて魔法を使ったことはあるのだという。

しかし魔法を使う以前の記憶がなく、どんな魔法を使うことができたのかも覚えていないそうだ。

「ただなんとなく物凄いピンチで魔法を唱えたような気がする」

気付いたときには城下町の通りに倒れていた。

たまたま居合わせたパマーダが傷を(いや)してやり、それ以来パーティを組んでいる。


「ちょっと魔法を唱えてみてよ」

「嫌だよ。また記憶をなくすかもしれないし。少なくとも試し撃ちはしたくないな」

それでもゲネオスは手で印を結んで、呪文を唱える前段階に入った。

その瞬間空気がピンッと張りつめたのが、オレにも感じられた。

呪文を唱え始めると、宿屋の外に繋がれたミラヤが大きな声で(いなな)き始めた。

離れたところにいたマスキロも急に立ち上がって、慌てたように別の呪文を唱え始めた。

ちょっとこれはマズイのでは!?


「いや、やっぱりやめておくよ。ここからどうやるのか全く思い出せない」

ゲネオスは印を解いた。

張り詰めた空気が一気に緩んだ。

マスキロは詠唱(えいしょう)()め、周辺のざわめきもまた聞こえるようになった。

「それは何の魔法なんだ。なんか、かなりヤバそうな感じがしたけど」

「分からない。けど本当に魔法を撃ったらなんだか気持ち良くなれそうな気はしたよ。ふふふふふ」


遠くの空でゴロゴロという音が聞こえ、稲光が起こると部屋の中を一瞬明るくした。

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