表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/218

第83話 エルフの館、再び

エルフの館に着くと、メイドに簡単に事情を説明した。

(あるじ)の死を聞いてショックを受けながらも、どこか安堵(あんど)している様子が伺えた。

それはつまり、このメイドもオレ達が死ぬことに薄々気付いていたということになる。

「さて、ついては報酬を受け取りたいのですが」

ゲネオスが切り出すと、メイドは慌てて奥の部屋に引っ込んだ。


「サルダド」

オレは口を開いた。

「よく考えるとオレ達は警護のミッションをクリアーしていないよな」

「そもそも警護ではなかった上に、ボク達は大蠍(おおさそり)のエサにされかかったんだから、まあ報酬を貰う権利はあるんじゃない?」

「それもそうか」


メイドが小箱を持って戻ってきた。

宝石箱のようだ。

施されたエルフ細工と象眼(ぞうがん)により、箱自体の価値も相当のものと思われた。

「主が報酬として宝石を示していたことは存じております。しかし私には宝石箱の開け方が分かりませんでした」

宝石箱には鍵穴は付いていない。しかし蓋はピッチリと閉じていて全く開かなかった。

解錠(アンロック)

マスキロがいきなり魔法を唱えた。

すると箱の一部が飛び出し、その後もあちらこちらから順番に突起物が現れた。

オレ達は目を見張った。

「箱に魔法はかかっておらんかった。エルフの細工だよ。もう箱は開いたはずだ」


オレ達は期待に胸を膨らませながら箱を開けた。

そこには指輪が一つだけ収められていた。

銀色の台座に大きな一粒の宝石が()め込まれている。

金目(かねめ)の物はエルフ達が持ち出した後のようだな。おそらくこれはアクリスの私物だろう」

マスキロが言った。


「これだけ貰っておこうか。パマーダさん、どう?」

ゲネオスが言った。

オレの髪の毛の中でアクリスがガサガサと動いた。

パマーダは指輪を試していたが、しばらくして首を振った。

「これは多分男性用よ」

「じゃあサルダドが持ってたらどう?」

ゲネオスに促されて、オレは指輪を試してみた。

右手の人差し指にピッタリ収まった。

アクリスは静かになった。


エルフの館を後にして、ゲネオスとパマーダが話し始めた。

「命を賭けたミッションで指輪1個は安いね」

「そうね」

マスキロはオレだけに聞こえる声でこう言った。

「あの二人は、この指輪の価値を分かっておらん!」

パマーダが口を開いた。

「じゃあエルフの罪はエルフに請求するというのはどう?」

「ということは?」

次の行き先が決まった。

「山の城へ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ