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第82話 次の行き先

クレーネの街へ戻ると、駱駝(らくだ)のミラヤが嬉しそうに駆け寄ってきた。

ゲネオスとパマーダに顔を()り寄せた後、ごくごく形式的にオレに近付いてきたが、オレの頭の方に顔を向けると不思議そうな表情を浮かべてそのままじっと見つめ続けた。


オレ達は初めに行った酒場を訪れた。マスターが驚いた顔をしている。

「どうした?」

「いや、アンタ達、よく無事で」

マスターはオレ達4人の頭の先から爪先まで順々に眺めた。

「それはつまり無事には終わらないと思ってたわけね」

パマーダが口を挟むと、マスターはしどろもどろしながら、

「いや、そういうわけでは……」

と言葉を濁した。


「砂漠で大蠍(おおさそり)に襲われた。何か心当たりは?」

「あぁ、数年前にこの街がモンスターに襲われたとき、街を取り囲むモンスターの中に大蠍の群れもいた。まだこの辺りにいたなんて……」

今度はマスターが質問してきた。

「それで……、アクリス様はどうなった?」

「アクリスは死んだよ。大蠍とともに」

おぉという声が酒場にたむろしていた客達から上がった。

「死んだ、というのは?」

マスターは驚きながらも少しトーンの上がった安堵の声に変わっていた。

オレは一瞬ためらったが、結局起こったことをそのまま話すことにした。最後の部分だけ少し変えて。

「あぁ、アクリスは大蠍に操られていたんだ。大蠍とともにオレ達を(おそ)ってきたので応戦せざるを得なかった。遺体は砂漠に埋めてきた」


「結局この街の人々は何が起こっていたのか知っていたのね」

マスターが店の奥に引っ込んだときに、パマーダはバーカウンターでカクテルをすすりながら言った。

エルフの為政者(いせいしゃ)が早々に脱出し、ほとんど唯一残ったエルフの血統(けっとう)であるアクリスが街を守った。

しかしそのアクリスが街の人々を、そして旅人を害していたことを、街の人々は薄々気付いていたのだろう。

「すぐに撤退してしまうのは、長命エルフの悪い癖だな」

マスキロは誰に言うともなくつぶやいた。


「さて、どうする?」

しばらくしてからオレはパーティーメンバーに問いかけた。冒険者には次の目的地が必要だ。

「決まってるだろ」

ゲネオスが大きな声を上げた。

「エルフの館だ。報酬を貰い受けにいかないと」

「このままじゃボク達タダ働きだよ」


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