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第77話 ノトス陥落

ノトスの街は今や陥落(かんらく)の危機にあった。

北のエルフと人間がノトスを発見してから300年余り。

その間ノトスは大いに栄え、海上貿易の拠点となっただけでなく、南の人間がキャラバンを組んで訪れることも頻繁(ひんぱん)だった。

しかし遂にモンスターに発見され、数回の小規模な戦闘の後、本格的な侵攻が始まった。

モンスターの来襲を想定して設計されたノトスの街は攻撃によく耐えたが、敵は無尽蔵(むじんぞう)に湧いてくるかに見えた。


港は既に制圧された。

王は少し前に、プエルト海軍の援助を求めに、西へと旅立っていった。

アクリスの父さま達がエルフの技術を注ぎ込んで築いたノトスの城も、今や落城寸前である。

ある夜、モンスターの一斉攻撃を受けたとき、遂に一番内側の城壁が崩れた。

王妃は言った。

「このままでは我らは全滅です。王の帰りがいつになるのかも分かりません。山の城に撤退しましょう」


落城の混乱の中、アクリスの父さまは戦死した。

集団の最後尾にいたため、ノトスの民の逃亡に気付いたモンスターの攻撃をまともに受けることになったためだ。

しかしアクリスが父さまの死を知ったのは、街の人々がノトスの街のはるか南に落ち延びた後だった。

1000歳に満たない若いエルフの死に、エルフの長老達は涙をこぼした。

アクリスは心の中で(つぶや)いた。

「父さまは私よりずっと長生きで、いつまでも一緒にいられると思った」

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