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第70話 鞭と毒針

空中から地面に叩きつけられたが、幸いにも下は砂地だった。

しかし立ち上がろうとすると、骨に痛みが走った。

「パマーダ、頼む……」

癒し(キュアー)!」

すぐに回復魔法が飛んだ。


立ち上がって見ると、オレを襲ったモンスターは巨大な(さそり)だった。

「そんなことだと思ったよ。またデカい虫か!」

大蠍(おおさそり)は体当たりをした後、すぐに戻って二度目の攻撃を加えてきた。

オレは必死で盾を構えたが、盾の左右から巨大なハサミ状の爪を差し込んでくる。

腕の両サイドや脇腹が血だらけになった。


そこにゲネオスの加勢が入ったので、大蠍は一旦その場を離れ、オレ達との距離を取った。

「お前達が白の貴婦人(レディー)()ったそうだな」

大蠍が話しかけてきた。

「なぜそれを知っている!」

「ふふふ、お前達人族と違って、俺達の仲間は海を飛んで越えることができるからな」


パマーダが再び回復魔法でオレの傷を治してくれた。

「お前だな、妙な武器を持っているというのは?」

ミョルニルのことを言っているのはすぐに分かった。

おそらくあのジャイアント・スパイダーがやられるところを見ていた(はね)つきの虫がいたのだろう。

そいつが海を渡って、情報をこのジャイアント・スコーピオンに伝えたようだ。


「だとしたらなんだと言うんだ?」

オレはミョルニルを構えながらそう答えた。

「お前もあの毒蜘蛛のようにしてやるよ!」

大蠍は低い姿勢から再び砂の上を走り、一気にオレにぶつかってきた。

オレは盾に体重を乗せてその攻撃を防ぐと、今度は敵に攻撃を加えるべくミョルニルを振りかぶった。

しかしミョルニルを打ち下ろすことはできず、代わりに武器を構えた腕に鋭い痛みが走った。

「いつっ!」

見るとミョルニルを構えたオレの腕には、蠍の尾から突き出た毒針が深々と刺さっている。


腕には革の紐がグルグルに巻かれ、それはアクリスの腕に繋がっていた。

アクリスが(むち)を振るって、オレの腕の動きを封じていたのだ。

「よくやった、アクリス!」

大蠍はゲネオスの反撃を受ける前に、再び距離を取って離れた。

「アクリス、放せ!」

しかしアクリスは黒眼しかない眼球でこちらを見つめながら、「ふふふふふ」と笑っているだけだ。


鞭をほどこうと腕をむちゃくちゃに動かしたが、アクリスが前後にスライドしながら鞭の張りを(ゆる)めるのでうまくいかない。

そのうちオレの腕は段々思うように動かなくなってきた。

「どうなっているんだ!」

遂に握力がなくなってしまい、ミョルニルを持ち続けることすらできなくなった。

ズサッ

ミョルニルが砂の上に落ちた。

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