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第53話 砂漠の道行き

オレ達は城跡の近くまで進み、その脇の道を通って丘を越えた。

その先の下り坂は灌木(かんぼく)が茂っていたが、斜面を下がるにつれ、木々はまばらになり、やがて砂と接した。

そう、この丘がノトスの街を砂漠から守っていたのだ。

砂漠と言っても砂ではなく土や岩が露出しているところもある。

しかし遥か遠くを眺めると砂丘が連なっていた。

水の気配はまったくない。

ノトスの街は、地下水や近くを流れる大河から引いた水を使っていたので緑に(あふ)れていた。しかしここではそれは望むべくもない。木々はなく、ただ砂と土と岩が続く大地が広がっているだけだ。

「オアシスはあの砂丘の先かな?」

ゲネオスが(つぶや)いた。


バザールで手に入れた便利グッズの中から方位磁針を取り出し、方向を確認しながら進んだ。

方向を確認するとき、ミラヤはどんどん先に進もうとする。

「ミラヤ、ちょっと待って。方向を確認してからだ」

しかしミラヤが歩を進める方向は、方位磁針で確認した方向と必ず一致していた。

「道を覚えているんだ。賢いなあ」


バザールの便利グッズの中には毛布もあった。

初めはなぜ毛布が入っているのか分からなかったが、夜になるとその必要性を思い知った。

寒い!

砂漠の夜は異常なくらい気温が下がった。

オレ達はしゃがんで休むミラヤの周りに集まり、ぎゅうぎゅう詰めになりながら毛布をまとって眠った。


砂漠の道行きでは、ごくたまにではあったが、別の商人とすれ違うこともあった。

オアシスのことを尋ねると皆一様に首をかしげた。

「何か変なんだ。住民の雰囲気が」

ある商人がそう教えてくれた。

「雰囲気が変というと、どういうことですか?」

「そうだな、、、何かに(おび)えているような感じかな」

「怯えている……」

「エルフの女王様がいたときはもっとこう明るい感じだったんだけどな」

「エルフはいなくなったんですか?」

「ああ、元々エルフはそんなに多くはなかったが、俺がオアシスに立ち寄ったときはエルフの姿は見なかった」

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