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第52話 ミラヤ

パマーダは再び呪文を唱えた。

短剣で作った裂け目が(ふさ)がり、もう何もなかったかのように治癒(ちゆ)していた。

観衆はホッとしたような感嘆の溜め息を漏らした。


黒い駱駝(らくだ)は最初何が起こったのか分かっていなかったが、後ろ脚の違和感がなくなったことに気付いたのか恐る恐る脚を動かし始めた。

ゆっくりと数歩歩くと、駱駝の目の中に輝きが戻ったのがオレ達にも分かった。

やがて駆け足になり、さらに広場の中を(人に怪我をさせない程度に)走り回った。

「お~い、どこまで行くんだ」

オレが声を掛けると、駱駝はオレ達のところに戻ってきた。

そしてパマーダとゲネオスの前でそれぞれ頭を下げた。


「この駱駝でいいよ」

ゲネオスが言うと、商人は苦虫を噛みつぶしたような顔をした。

しかしこの商人は損をしていない。

損をしたのはこの黒い駱駝を叩き売った別の商人だ。

商人同士でこの後どんな悶着(もんちゃく)が起ころうともオレ達には関係のないことだ。


「名前はどうしようか?」とゲネオス。

「黒いからクロでいいんじゃないか?」とオレ。

「適当だね」

ゲネオスは振り返って商人に尋ねた。

「ご主人、この駱駝に名前はあるんですか?」

「ミラヤが名前だ。あとその子は女の子なんで」

おっと!

ミラヤはすっかりゲネオスに懐いていた。

一方、女の子にクロという名前を付けようとしたオレはほとんど目を合わせてもらえなかった。


「ミラヤは凄い駱駝だぞ。脚がああなる以前はスピードでも持久力でも、ほかの駱駝は全く刃が立たなかったんだ」

近くにいた別の商人が教えてくれた。

宿屋のボーイに手伝わせて、ミラヤに準備してきた物資を担がせた。

オアシスに向けて、遂に出発だ!

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