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第44話 マナ・ストーン

大きな部屋には粉々になった骨と、アンデッド達が来ていたボロ布だけが残った。

その頃には船員達も騒ぎを聴いて集まってきた。

パマーダは無傷では終わらず、相当の怪我を負っている。

オレもゲネオスもあちこちやられた。

「魔法を使い切っちゃった。今は治癒(キュアー)の魔法は無理」

床板に座り込んだパマーダは、傷の痛みを我慢しながら言った。


「これを使え」

マスキロが近付いてきて、手のひらに収まるくらいの、割と大粒の宝石をパマーダに渡した。

「これは?」

「マナ・ストーンじゃ。魔力を貯めておける。ただしあまりに強い魔法を一度にかけると砕けてしまうから気を付けなさい」

「ありがとう」

マナ・ストーンを手にしたパマーダは、表情に光が差し、力が(あふ)れてくる様子が(うかが)い知れた。

パマーダは自分自身とオレとゲネオスに治癒(キュアー)の魔法をかけた。

「さすがプエルトは交易の街。ここまで大粒の石は他の街ではなかなかないぞ」

マスキロが言った。

路地裏の店で買っていたのは、この石だったのか。確かにオレには不要だ。


「マナ・ストーンは一度使ったら終わりなの?」

パマーダが質問した。

「いや、割れない限り何度でも使える。魔力が充実しているときに、魔力の一部を石に貯めておくのじゃ」

マスキロは続けた。

「ワシも強力な魔法をかけるときは、この石の力を借りねばならなくなってしもうた。石を何個も持つという方法もあるが、やはり強い魔力を持った石があると心強い」

そう言うとマスキロは、懐からジャラジャラと大小10個以上のマナ・ストーンを取り出し、見せてくれた。

確かにパマーダに貸し出したマナ・ストーンは、その中でもひときわ大きかった。


その後、元気になったパマーダはニヤリと笑って、船長と死霊使いの処遇(しょぐう)を告げた。

「漕ぎ手もいなくなったことだし、しばらくオールを漕いでもらおうかしら」

そこらにいた船員に命じて、漕ぎ手のパーティションで足枷(あしかせ)を着けさせてしまった。

ちなみに既に船員達はパマーダの言うことをきくようになっている。

船乗り達は信心深いし、今まで幽霊達と同居してきたことが分かって、すっかりこの女僧侶に帰依(きえ)していた。

「この部屋にある骨はプエルトに帰ったら、墓地かどこかにまとめて埋めてあげて。どうしても帰りたかったみたいだから」

「御意のままに!」(船員一同)

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