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第31話 リンゴと恋するカレー

「いらっしゃい!」

オレ達が酒場に入ると、ウェイターが元気よく挨拶をしてきた。

以前と違って店は大盛況だ。

客はオレ達を見ると、席をうまく詰めて4人分が座れる場所を作ってくれた。

「ちょっと待ってください。コシネロさんを呼んできます」

ウェイターはそう言うと厨房に走っていった。


しばらくするとコシネロがワゴンを押しながらオレ達のところまで来た。

以前の覇気(はき)のないコックから様変わりしており、無駄のない動きでオレ達に料理をサーブしてくれた。

「料理対決で考えついたんですが、結局不戦勝になって日の目を見なかったアイディアを落とし込んだメニューです。是非ご賞味(しょうみ)ください」


それは楕円(だえん)形の平たい器に炊いた米が敷かれ、その上にカレーをかけた料理だった。

辛さの中に独特の甘みがあり、それがまたカレーの辛さを引き立てて、えも言われぬ美味(うま)さであった。

「これはひょっとして、、、フルーツ?」

パマーダが口を開いた。

「そうです。リンゴです。リンゴを入れるアイディアが料理対決の途中で突然ひらめいたんです」

そうだ、ウェイターがリンゴを取りにいったおかげで、透明になって(ひそ)んでいたレッサー・デーモンを見つけることができたんだ。

おそらくそれがなかったら、透明な奴はコシネロの料理を妨害(ぼうがい)していただろう。

「私はこれを『リンゴと恋するカレー』と名付けました。お祭りのときにみんなに食べてもらおうと思います」

「……それはまたビミョーなネーミングだな」


名前はともかくカレーは最高に美味かった。オレとゲネオスは何杯もおかわりした。

食後一息ついてから、コシネロは再びオレ達のところへやって来た。

「お約束どおり、賞金の半分は差し上げます。実を言うとお祭りの食材には困らなくなったので、お金の心配はなくなりました」

コシネロはそう切り出して、料理対決後のいきさつを語った。

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