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第218話 Party Party

「ねえパマーダ」

ゲネオスが言った。

「どうしたの?」

「少し落ち着いたら、申し訳ないけどボクの怪我を治してほしいんだけど」

ゲネオスの肩の傷は深く、あまりにも血が流れすぎて顔が真っ青になっていた。

「ちょっと! 早く言いなさいよ!」

パマーダは大急ぎでゲネオスの傷を癒やしてやった。

オレは思わず大声を上げて笑ってしまった。

「どうしたの?」

二人が尋ねてきたが、オレは笑いが止まらず答えることができなかった。

ゲネオスとパマーダは最初から最後まで同じだったなと、それがおかしかったのだ。


塔の外に出ると、そこにあったのは草茫々(ぼうぼう)の空き地と、所々に見える礎石だった。

「城は、、、そもそもなかったんだ。とっくの昔に朽ち果てて……」

とゲネオスが言った。

塔自体はしっかりと建っていた。しかしその役目を終えたためか、所々石が緩んでいるようにも見えた。

「この塔も間もなく崩れ去ってしまうかもしれないな……」

オレは塔の側面に手を当てて、これを造った先祖に思いを馳せた。


「なあ、ちょっと考えていることがあるんだけど」

城があったところには既に多くの人が集まってワイワイ騒ぎ始めていた。

オレたちはその人混みをかき分けて一旦家に戻ることにした。

「なあに?」

パマーダが答えた。

「実はもうすぐオレの誕生日なんだ。自分の家を出てから丁度2年、いや12年なのかもしれないが……。いずれにせよ、間もなく二十歳の誕生日なんだ」

「おめでとう!」

ゲネオスとパマーダが口を揃えて言った。

「それでちょっとお願いがあるんだけど」

二人はオレの次の言葉を待った。

「家で誕生日パーティーを開こうと思うんだ。来てくれる?」

二人は一瞬顔を見合わせ、その後で大笑いを始めた。

「サルダドの誕生日パーティ? もちろん行くよ!」

とゲネオスが言った。

「ワタシたちだけじゃつまんないわね。街中の人に声をかけるわ」

とパマーダが続いた。

「いや、そこまでは望んでないんだけど。オレはもう二十歳だし……」

「いいじゃない、パーティーは賑やかな方がいいでしょ!」


数日後にオレの自宅で開かれた誕生日パーティーは、それまでの空白の20年を補って余りあるものだった。

パマーダ目当てでやって来た男たちや、その監視役の女房たち、近所の子どもたちまで集まった。

母親は料理作りにてんてこ舞いだったが、パマーダの指揮で料理屋の主人(もちろんパマーダ目当ての客だ)が手伝いに動員された。

父親は魔法の力でイリュージョンを見せ、子どもたちだけでなく大人の客まで大いに喜ばせた。

オレたちは深夜まで歌い、踊った。


第13章 初めの城 〜完〜


誕生日パーティーの後、オレは一人、地下の倉庫へと降りていった。


『サルダドは +3 ウォーハンマー《星砕きのミョルニル》を 家の倉庫にしまった』


Fin.

ついに、サルダドたちの冒険が完結しました。彼がこのまま故郷に腰を落ち着けるのか、それともゲネオスやパマーダと再び旅に出るのか――それは筆者にも分かりません。


この物語を書き始めたとき、我が家にいたのは双子の愛犬2匹だけでした。今では5歳の娘と3歳の息子がいます。思いのほか長い時間がかかってしまいましたが、無事に最後まで書き切ることができ、ホッとしています。

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