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第213話 初めの城

魔王の城攻略の決行は翌日の朝。またしても明るい時間帯を選ぶことにした。

イマミアンド城攻略のときとは異なり、今回は城そのものへは向かわない。城の(かたわ)らに建つ石造りの塔が目的地だ。これはエルフの王がそうしろと言ったからだ。


「余が物見の球で観察したところによると、城そのものには禍々(まがまが)しい霊気(オーラ)は感じなかった。しかしその隣の塔からは常に邪悪な気配が(あふ)れ出しており、物見の球によっても内部を見通すことができぬ。

この塔は城よりも遙かに古い時代に建てられたもののようだ。すなわちかつてこの地を訪れた魔法使いが余に話したように、自ら建設に参加して何らかの手を加えたものであろう。

サルダド、其方の先祖を信じよ。其方の先祖がどのような細工を(ろう)して、プラネット・クラッシャーを支える仕掛けを施したのかは余にも分からぬ。しかし先祖は必ず子孫である其方を導くであろう」


実際この塔は城に対して不釣り合いなほど巨大なものだった。

地表の辺りでは一辺が90メートルほどの正方形の形をしており、それが上層に向かってほとんどその太さを減ずることなく伸びているのである。

すべて石を組んで作られているが、その表面は完璧に磨かれ、石と石の間の隙間にほんの僅かな段差もない。窓も銃眼もないので、外から侵入するのは不可能そうだ。

塔の頭頂部は尖っており、正方形が自然と円錐形になるような造形になっている。ここにも窓やとっかかりはなく、あまりに磨き上げられているので鳥すらその羽を休められそうになかった。

これに比べると城やその周囲の建物はありふれていて、確かにしっかりとして造りではあるものの、どこかおとぎ話の絵本の中の城という感じがした。


「それじゃあ始めるよ?」

ゲネオスはそう言ってから、道具袋から巻物(スクロール)を取り出した。

ゲネオスがその巻物に書かれた呪文を読み上げながら手をかざすと、そこからかなり大きなファイヤー・ボールが放たれ、城壁の一部を打ち砕いた。

イマミアンドでまとめ買いしておいた魔法の巻物だ。結構な値段がしたが、初めの城攻略に際してあらかじめ用意していたものだった。巻物は効果が現れると灰になってパラパラと地面に散った。


「走ろう!」

オレたちはまっすぐ塔に向かって走った。

塔の正面に一つだけ作られた扉の前に立つと、ゲネオスが次の巻物を取り出した。

解錠(アン・ロック)!」

扉は音も立てずにスーッと両側に開いた。パラパラと(ほこり)が落ちた様子を見ると、もう何十年もの間(いや何百年もの間か?)開けられたことはなかったようだ。

「ここからはサルダドが先頭に立って! 一気に駆け上がるよ!」

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