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第197話 イマミアンド城

決戦は朝に始めることにした。奇襲は夜というのが一般の理解だが、夜はモンスターの時間だ。むしろ明るい時間帯の方が我々にとって有利だろうという判断から、戦いの開始を朝の9時に設定した。


冒険者の店でしっかりと腹拵(はらごしら)えしたオレたちは、イマミアンド城が直接見える通りに移動した。周囲は普通に通行人や馬車が行き()っている。彼らは今日がどんな一日になるのが分かっていない。普段と同じ日が繰り返されると信じて疑わないはずだ。しかし今日の朝と今日の夕方では世界は別のものに変わっているだろう。


レジスタンスが動き出すのはもっと後だ。首領を討伐した後、オレたちが城から伝達することになっている。それがいつになるかはオレたちにかかっている。

通りに立っていると、黒ずくめのローブにフードで顔を隠した女が近づいてきた。もちろんメルーだ。

オレはミョルニルを構え、「いいな?」と問うた。ゲネオス、パマーダ、マスキロ、それにメルーが(うなず)いた。

オレはメルーを抱きかかえ、残りの三人にオレのベルトをしっかりと(つか)むように伝えた。

「玉座の間へ!」

オレはミョルニルを空高く投げた。続いてオレたちの身体が引っ張られ、遙かイマミアンドの上空を飛行し、目的地へと向けて一直線に進んでいった。


オレたちはテラスに着地すると、地図に従ってすぐに建物に入った。

そこは広い空間になっていて玉座の間へと続く大階段があった。

護衛の兵士が数名いたが、それはオレたちの先制攻撃で倒した。

「このまま一気に玉座の間へ向かうよ!」

ゲネオスが声を張り上げ、オレたちもそれに続いた。


しかしメルーはその場を動かなかった。

「私はここに残ります」

とメルーが言った。

「玉座の間へと続く通路はこの大階段だけのはず。私は他のモンスターが来ないようにこの場所を守ります」

オレはどうしようかと思ったが、ゲネオスは迷いなく、

「時間がない。行こう」

と言った。オレたちはメルーを残して大階段を登っていった。


大階段の途中で、その先の玉座の間に続く扉を守っていた護衛のモンスターが攻撃を仕掛けてきた。敵は強く魔法使い(マスキロ)僧侶(パマーダ)の援護が必要だったが、オレとゲネオスの剣は最後にはそいつらを身体を貫いた。

扉の前に着くと、そこにはもうモンスターはいなかった。扉はオレたちの背丈の五倍くらいあり、横幅もオレたち四人が並んで通ってもまだ余裕があるくらいあった。

「王が自分の部屋の扉に罠を仕掛けたりはしないだろう」

マスキロの言葉を信じて、オレは力を込めて扉を押した。

扉はゆっくりと、しかし何の抵抗もなく開いていった。

人が入れるほど開いたので、オレたちはそこから玉座の間へと滑り込み、陣形を組んで部屋の中を確認した。

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