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第186話 艀

「お姉さん、気をつけなよ。この河は結構深いんだ。落ちたらせっかくの衣装が台無しだ」

パマーダは自分に声をかけた船頭をキッと(にら)み返すと、(はしけ)桟橋(さんばし)の間に渡された木の板をさっさと渡ってしまった。

船頭はそれを見て驚いたようなあきれたような表情を浮かべたが、すぐにまた自分の仕事に戻っていった。


ここはイマミアンドの外港(がいこう)であるフホートから、河を3日ほど(さかのぼ)ったところにある河港だ。ここからイマミアンドまではわずか半日の距離でしかなく、ここからもその城壁やいくつもの尖塔(せんとう)を臨むことができる。


コシネロは軍艦だけでなく商船も多数保有していた。そのうちの一つでフホートまで送ってもらい、そこからは信頼の置ける人間が操船する艀に乗ってここまでやってきたのだ。

海賊行為を働きながらも貿易の道は閉ざさないというのが、プエルトのしたたかなところだった。


船旅はそれまでのオレたちの旅から比べると快適以外の何物でもなかった。オレたちは通常船長が寝泊まりするような特級船室をあてがわれ、食糧も嗜好品もふんだんに提供された。途中一度だけモンスターの襲撃を受けたので、オレたちは船賃見合いの働きをしたが、このパーティはクラーケンすら倒してしまうのだから、海上であってもオレたちが倒せないモンスターはもういないと言っていい。


コシネロとはノトスで別れたが、出発までの滞在期間にイマミアンドの地勢に関するかなりのインプットを受けた。船の船員たちも船旅の途中、役に立つものから立たないものまで様々な情報をくれた。

ただ船員たちは通常フホートまでしか行かず、イマミアンド城内まで入ることはほとんどないとのことだった。

イマミアンドは海から離れていたし、その城壁内は歴戦の海の男にとっても必ずしも安全とは言えなかった。歓楽街は主にフホートにできあがっていたこともあって、船旅を共にした仲間たちともフホートで別れを告げた。


イマミアンドの城壁に設置された門では若干の誰何(すいか)があったが、これもコシネロが作ってくれた保証書で実質フリーパスだった。

オレたちは商船に付随(ふずい)する雇われの冒険者であり、船が停泊している間の日銭稼ぎに城内に入るという建付(たてつけ)だった。

入城してもすぐに出て行く予定のある冒険者は比較的警戒されないだろうという、コシネロの考えたシナリオだった。


「とりあえず目指すのは、『冒険者の店』だな?」

目の前にはイマミアンドの目抜き通りが広がっている。その先には何層もの城壁に囲まれた城がそびえ立っているのが見えた。

オレたちは遂に宿敵の領内に足を踏み入れたのだ。

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