第183話 プエルト艦隊
ドラゴンライダーを討ち取った後、オレはその場に座り込んで勝利の余韻に浸っていた。
しかしそのような雰囲気に染まっていない男がいた。
「今夜が勝負だ。今夜は夜を徹して戦う。寝たければ残り何千年かの人生の中でいくらでも寝られる。今夜は朝まで戦うぞ。朝までに敵の艦隊を殲滅するんだ!」
ゲネオスが数人のエルフを集めて大演説を始めていた。
「飛行が使える者はひとっ飛びプエルト艦隊に飛んで、このことを伝えてきて! 敵のマストにカンテラをかける。それめがけて攻撃を仕掛けてくれと」
ゲネオスは若いエルフの戦士や人間の補助兵も呼び寄せた。
「君たちは城の中から、いや街中まで行ってカンテラを集めてきてほしい。敵が撤退を始めると魔法の射程から外れてしまう。早く!」
ゲネオスはオレの方に振り返って言った。
「サルダド! キミはこのカンテラを片っ端から敵の船のマストに引っかけてきてくれ。プエルト艦隊にも頼むけど、ボクたちも可能な限り射撃する。キミの周りは灯りで照らすから」
「おいおい、そんなことをしたらオレは敵の標的にならないか?」
「サルダドなら少々の攻撃を受けても死なないだろう。この仕事ができるのはキミだけなんだ。頼む!」
なんだか滅茶苦茶なことを言われているような気もしたが、ゲネオスの言うことは理にかなっており、オレはそこら辺に集まりつつあったカンテラを2,3個掴むと、敵艦隊の中でも特に大きな船に向かって飛び出していった。
眼下にはモンスターの船のさらに沖合に、巨大な戦艦が何十隻も浮かんでいるのが見えた。いずれもプエルトの旗を高々と掲げている。
そのうちの一隻の側面から白煙が上がると、すぐさま大音響が続き、モンスターの船が沈んでいった。プエルト艦隊が大砲を放ったのだ。
その威力はモンスターたちが使っていたものとは大違いで、もしあのレベルの破壊力でノトスの街を攻撃されていたら、もっと早くにノトスはすべての防壁を失っていただろう。
おれは船のマストにカンテラをかけると、すぐにノトス城に戻るということを繰り返した。
カンテラは何百個も集まり、オレは夜を徹してノトスの海を飛び回り続けた。
船にカンテラをかけると、ただちにノトス城から放たれる魔法と、プエルト艦隊が放つ大砲の標的になった。
敵は外海に逃れることもできず、その多くは海の藻屑と消えた。




