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第179話 市街戦

キューマの傷はパマーダの癒やしの魔法で即座に(ふさ)がった。

しかし重傷の衝撃があるため、その日は城の防衛に専念することにしてもらった。

「サルダドさん、すいません」

「構わないよ。戦いは長い。明日までに回復してくれ」

エルフたちはキューマの傷を見て、ひそひそと話し合った。

「エルフが鍛えた鎧もむなしく貫通している。なんというパワーだ……」


オレも多少ダメージを負っていたが、パマーダは治してくれなかった。

「あなたは軽傷でしょう。マナに余裕があったら寝る前に治してあげる。少しマナとマナ・ストーンを節約しないとこの先もたないわ」

城を守るエルフたちの中にカメロスがいるのが見えた。

「カメロス! 行けるか?」

カメロスは一瞬驚いた表情を浮かべたが、

「はい!」

と力強く答えた。その声はほかのエルフのひそひそ話をかき消した。

オレはカメロスとの残りの決死隊メンバーを連れて、再び敵の艦船に向けて飛び立った。


日が沈みかけると、撤退の銅鑼(どら)が鳴った。

「バリアーを張り直します! 皆は傷を癒やしてください!」

エレミアの声が城中に響いた。


ゲネオスが城に戻ると、戦いの中でも冷静に観察していた内容を皆と共有してくれた。

「どの船にも人間の戦士やダークメイジ、それに竜の頭を持つ戦士がいた。彼らが凶暴なだけで知性のないモンスターを押さえつけているように見えた。モンスターの船は思いのほか統制が取れていた」

「つまりオレたちの見立ては間違っていたということか」

オレは戦いの前にエルフたちが言っていた言葉を思い出しながら話した。

「うん、だから敵の数は包囲が始まってからそれほど減っていないと考えた方がいいと思う」

「そうか……」


だからといってやることが変わるわけではない。

そこから数日は同じような戦いが続いたが、オレは遂に敵の船を飛び回ってもいられなくなってきた。オレたちの攻撃をかいくぐって、敵の船がノトスに着岸し始めたからだ。


船からは数艘の小舟が下ろされ、そこにはモンスターがぎゅうぎゅう詰めにされていた。

防御の兵士たちはもちろんその小舟を狙ったが、上陸を果たすモンスターもいて、彼らは陸に上がるとすぐに手近な建物を破壊し始めた。

その日はなんとか撃退したが、上陸するモンスターの数は日に日に増えていった。


ノトスは商売の街であり、街全体が防衛のために設計されているわけではない。

とはいえいきなり城に閉じこもるわけにもいかず、オレたちは斜面に沿って伸びる道の所々にバリケードを築き、建物もある種の障害物として、敵の攻撃を分散するようにした。

しかし戦いの最初に倒したアウルベアのような超人的な力を持つモンスターは、人間なら迂回するであろう建物でもそのまま突っ込んでくるので、オレたちは度々裏をかかれて、その度に防衛線を変更する必要があった。

ノトス城まで攻め込まれるのは時間の問題だった。

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