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第169話 登城

しばらく街の広場で周囲を確かめていると、白いフード付きのローブを着た人物が近づいてきた。

オレは一応剣の柄に手をかけたが、おそらくそれは敵ではないだろうと思った。

「ゲネオス様、サルダド様、パマーダ様、それにマゴス様、お懐かしゅうございます。覚えておいでですか?」

フードを取ると、ローブの下は銀色に光る鎧で完全武装した戦士であった。そしてそれはエルフの戦士だった。

覚えている。オレは記憶を辿(たど)った。ここではない。彼は確かアンモスの弟分の、名前はたしか、、、

「カメロスです。お忘れかもしれません。私にとってあの日は初陣(ういじん)でしたから」

そうだそうだ。パランクルスの砦でともに戦った仲間の一人だ。それほど目立つ戦士ではなかったが、エルフの中でも相当に若かったらしく、尽きないスタミナで、モンスターを(ほふ)り続けていたのを覚えている。

ただ何となく雰囲気が変わったらように感じた。エルフなのではっきりとは分からないが、何かこう急に大人びたような感じがしたのだ。


「ご案内します。どうぞこちらへ」

カメロスはオレたちを先導し、街の中を進んでいった。道は徐々に傾斜を強め、城の方へと続いていく。

道の両脇の建物からは人々の好奇の視線を感じた。数は少ないが建物から出てきている街人もいる。多くは男性で腰には曲刀を提げていた。そうした男たちはカメロスが通ると会釈(えしゃく)を交わした。


街中はそうでもなかったが、ノトスの城はオレたちが知っている姿と大きく異なっていた。

以前見たときは、基盤部分の石垣こそエルフの(たくみ)の技を感じさせるものだったが、その上の建物部分はかろうじて城跡と分かるほどにしか石材も残っていなかったはずだ。

それが今は威風堂々(いふうどうどう)たる城が石垣の上にそびえ立っている。

その城はパランクルスの三重の防壁とは異なり、城自体が持つ(かたまり)の威圧感でもって攻める者の気持ちを()えさせるものだった。


「カメロス、しばらく見ない間に何があったんだ? 水平線に浮かぶあの船は何なんだ?」

「ある程度予期されたことではあります。今、アンモス卿がプエルトに向かっておられます」

「プエルト!?」

予想外の名前が出てきたので一瞬驚いたが、そういえばノトスとプエルトとの間の航路が回復したのかもしれない。

「ノトスの東に断崖があるのはご存じですか? 数年前にその断崖でモンスターを撃退してからも我々は準備を続けてきました。今度は海路から来るかもしれないということも念頭にありました。しかし敵の軍勢は予想以上だったのです。南エルフは今、パランクス以来の存亡の危機にさらされているのです」

数年前? どうも話が噛み合わない。

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