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第150話 越境

「ハーピィのことだが、何羽かは逃がしてしまった。おそらくイマミアンドに向かったのだろう」

その街の名前に部屋の空気はピンと張りつめた。

「デーモンはそもそも手助けなど必要ないと思っていたはずだ。ただ首領への連絡用に、伝令として使えそうなモンスターを呼び出しただけだったのではないか?」

「それはつまり……」

マスキロは(うなず)いた。

「そう。ワシたちの居場所は敵の知るところとなったということだ」


マスキロは続けた。

「ただもう一つ問題がある。デーモンがいたことから分かるように、北と南の大陸がこの狭い海峡で接続していることは既に知られていただろう。けれどもその先のデルタ地帯がエルフの居住地と繫がっていることも、これで分かってしまった」

敵からも味方にとっても防壁のような役割を果たしていたであろう水竜も、オレたちに倒されて今はもういない。

「何とかしてエルフに伝える方法はないの?」

ゲネオスの問いに、マスキロは首を振った。

「ない。ただデルタ地帯を抜けたとしても、その先で海まで続く断崖絶壁を越えねばならない。迂回してもパランクスの砦だ。エルフは簡単には破れんよ」

ゲネオスはホッとした表情を浮かべた。

「それよりも心配はこの街だ」

そうだった。敵の軍勢が海峡を越えてやってくれば、このような小さな街はひとたまりもないだろう。

「明日ムイースさんに話してみましょう」

パマーダが言った。


数日後、オレたちは高地の街を後にした。

ムイースはオレたちを見送りに、街を出て少し進んだところまで来てくれた。

「街の人々の反応はどうでした?」

ゲネオスが問うと、ムイースは複雑な表情を浮かべた。

「みんなまだ自分のこととして考えてくれません。ただ私のこの失った腕を見ると、多少は真剣に考えてくれている人もいるようです」

マスキロはそうだろうなとでも言うように、深く頷いた。

「エルフの街へ向かうルートは決してやさしい道のりではないが、たどり着ければその見返りはあるはずだ。女王にワシらの名前を伝えるのを忘れぬように」

「はい、皆さんのお話を元に地図もしたためました。何とかして生き残って再び皆さんにお目にかかりましょう」


ムイースと別れたオレたちは真っ直ぐ塔に向かった。デーモンを倒したパーティに誰が立ち向かおうとするものか。オレたちはすぐに最上階に到着した。

「準備はいいか?」

オレが言うと、皆はこくりと頷いた。

オレはミョルニルを、今度は北の大陸に立つ塔に向かって、力強く放り投げた。


第8章 海峡の男 〜完〜

ただの言い訳ですが、昨年二人目の子どもが生まれました。

このところ子どものお世話がキツくて、ろくにPCの前に座ることもできません。

けど小説を書くのは本当に楽しいので、なんとかスキマ時間を見つけてお話を続けていきたいと思います。

サルダドとミョルニルのお話も、頭の中ではほぼ最後までできあがっています。

それを文章にする力が不足しているのがもどかしい。けど頑張ります!

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