第147話 デーモンとの戦い続く
「こういうときはどうすればよかったんだったっけ!?」
オレはすぐに立ち上がり、ミョルニルを振りかぶってデーモンに突進した。
「圧倒的な力でもって、短時間で相手をねじ伏せるしかない!」
ゲネオスが叫んだ。
「それができればとっくにやってる!」
オレは叫び返した。
ミョルニルを撃ちつけると確かにダメージを与える感触はあったが、デーモンの硬い皮膚に阻まれ、どこまでダメージが通ったかは分からない。
その後も、双方相手にダメージを与えては回復し合うという攻防が続いた。
マスキロはデーモンの魔法を恐れ、ハーピィを一通り追い払ったあとは、一切前には出てこない。
「回復魔法はそろそろ打ち止めよ!」
パマーダが言った。
「分かった。けどあいつも相当魔法を使っているはず」
そのときデーモンの背後に巨大なマナ・ストーンが浮かんでいるのが見えた。
エルフがマスキロに贈ったものより一回りも二回りも大きい。
「こっちの魔法が尽きても相手はまだまだ余裕がありそうだな!」
オレは敵のマナ・ストーンを指し示しながら、ゲネオスに言った。
これでは埒が明かない。オレはかなり焦り始めた。
初めて戦いの最中にチラリと後ろを振り返り、退却の可能性がないか探ろうとした。
「危ない!」
目を離した一瞬の隙を突いて、デーモンの丸太のような腕がオレをなぎ払った。
カイトシールド・プラス1が吹き飛ばされ、塔の屋上の隅の方へガランガランと転がっていった。
オレは剣を盾の後ろに仕込んでいるので、この後は刃無しに戦わなければならない。
オレはミョルニルを両手で握り締めた。
「ゲネオス、回復魔法を使っているということは、あのデーモンもダメージ無効というわけじゃないんだよな!」
「多分ね!」
敵の攻撃をかいくぐりながらゲネオスが答えた。
「切っても突いても確かにダメージを与えている。それにサルダドのミョルニルがダメージを与える都度、デーモンは顔を歪めているようだ」
オレは覚悟を決めつつあった。
「つまり通常の攻撃でもダメージを与えることができる。つまり一発で大ダメージを与えればいいわけだ?」
オレはもう一度ゲネオスに確認した。
「そう! それを最初に言ったよ!」
オレは視線はデーモンから離さないままニヤリと笑った。
「じゃあこうすればどうだ!」
オレはミョルニルを海峡に向かって放り投げた。




