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第144話 変身

オレは腕や顔面に、ピッ、ピッと何かが走るような感触を感じた。そして次の瞬間、腕や顔から大量の血が噴き出した。

「ぐわっ」

俺は思わずひざまずいた。全く攻撃を受けた感触がなかった。にもかかわらず身体の複数箇所に同時攻撃を受けたことに動転してしまったのだ。

オレは何はさておき自分のケガの状況を確認しようと思った。しかし戦士としての経験からかろうじて冷静さを取り戻し、周囲を見渡した。


ゲネオスはオレと似たような状況だった。全身から出血している。ただ出血はひどいが、戦いの終わりにはしょっちゅう腕がちぎれそうになっていることに比べればまだマシだったかもしれない。

回復役のパマーダも防具のない頭部は相当やられているが、エルフからもらったチェイン・メイル プラス1のおかげか、首から下の胴体には傷はなさそうだ。

しかしその隣のムイースは尋常ではなかった。パマーダに誘導され、少し離れたところにいたにもかかわらず、ムイースの右腕は肩のところからちぎれてなくなっていた。少し離れたところに切断された右腕が転がっていた。

「今のは一体何だ!?」

「分からない!」

ゲネオスは血をボタボタ落としながらパマーダの元に向かい、背中をパマーダに向けて剣と盾を構えた。

「パマーダさん、まずは自分のケガを治して。その後はムイースさんを」

「分かった。急ぐ」


再びオルニスに目を向けると、彼の身体は既にオレよりも頭二つ分ほど大きくなっていた。

小さくなった服は脱ぎ捨て、その下にあるおよそ人間のものとは思われないほどの筋肉が盛り上がると、それだけで敗北を受け入れたくなるような、強いオーラをまとった異形の存在が現れた。

「マスキロ!」

オレは思わず叫んだ。

「おめでとう。そいつはデーモンだ。気をつけろ、魔法を使うぞ」

ここへきてオレは、ようやくマスキロの状況を確認することができた。

マスキロはズタズタに破れたローブを血で真っ赤に染めながらも、呪文の詠唱を行おうとしていた。

「マスキロ、パマーダを待て! 無理はするな!」

しかしマスキロはオレの声を無視して詠唱を続けた。

「カウンター・マジック!」


オレは自分の身体の周囲を目に見えない何かが取り囲むのを感じた。

「少し遅れてしまった。あれは風の魔法だ。油断した。パマーダ、すまない、そなたの癒しの力、期待しておるぞ……」

そう言うとマスキロは膝から崩れ落ち、スタッフを支えになんとか上体を起こしている状態になった。

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