第143話 引っかかり
「雷鳴?」
ゲネオスがオルニスの言葉に反応した。
「どうして雷鳴に関係すると思ったんですか?」
「それは、、、ええ、なんとなくそのような特別な力を持ったもののような気がしたので」
「サルダド、そうなの?」
「んんん? これは違うかな? 特に雷とは関係ないと思う。雷ならむしろゲネオ……」
ゲネオスはオレの小脇をつついて話すのを遮った。
「どうしたんだ?」
「いや、ちょっと気になることがあってね」
ゲネオスは再びオルニスに向き直った。
「オルニスさん、貴方はいつから向こう側の塔にいらっしゃってたんですか?」
「私ですか? それはもう遥か以前から」
「北の大陸はどうなっているか教えてください」
「北の大陸ですか? そうですね……」
オルニスはここで言葉を置いた。
「北の大陸と言っても広いですからどのように説明すればよいか。向こう側の塔の辺りから始めると、塔から先はずっと森が広がっています。そこから緩く傾斜しながら徐々に標高を下げ、やがて低地に繋がっていきます。低地は平原になっていて、その中には多くの街があります。その中でも最も大きい都市がイマミアンドで、メガロス様が統治なさっています」
「イマミアンド!!!」
オルニスはオレたちの反応に驚いた様子だったが、さして気にせずに話を続けた。
「ご存知でしたか? イマミアンドは平原に入れば1週間とかからないところにあります。森林を抜けるのにはもう少し時間が必要でしょうが、ミョルニルをお持ちの皆さんであれば、道中に苦労なさることはないでしょう」
ゲネオスはロング・ソードの柄に手をかけた。オレもミョルニルを腰のベルトから外して手に構えた。
パマーダはムイースの手を引っ張って、階段の側まで下がらせようとした。
「どうしたんですか?」
ムイースが尋ねたが、
「いいから下がって」
と、パマーダは半ば強引にムイースの身体を押していった。
マスキロは少し離れたところでスタッフを両手に持ち、こちらを観ながら精神を集中させているように見える。
オルニスは、「どうしたんですか?」と、ムイースと同じことを言った。
しかしただならぬオレたちの様子を見ると、
「少し待ってください」と言って、塔の屋上の縁に立ってあちら側を向いてしまった。
向こうを向いたままのオルニスに対して、オレは問いかけた。
「オルニス、一つだけ質問だ。お前はこのウォーハンマーの名をどこで知った?」
オルニスは答えない。
「オルニス、聞こえなかったのか? このウォーハンマーのことだ」
オレはもう一度尋ねた。オルニスは向こうを向いたまま話し始めた。
「ゲネオス殿にサルダド殿、貴方たちはイマミアンドでは結構な有名人ですよ。
オルニスはこちらに振り返った。その額には真っ黒な角がぐぐぐぐっと生え始めており、緩いカールを描きながらそれはどんどん伸びてきた。
オレたちが「アッ」と言う間もなく、オルニスの腕が複雑に動き、その手から何かが放たれた。




