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第124話 ダーク・メイジの遺品

オレたちはここで分かれて、念のためモンスター・キャンプ全体を探索することにした。特殊なマジック・アイテムが見つかるかもしれないという目論見(もくろみ)からだ。

しかしこの目論見は空振りに終わった。雑魚モンスターが高品質な武具やマジック・アイテムを持っているはずもない。それに仮に見つかったとしても、一度モンスターの手に触れたものを使いたいと思う者はほとんどいなかっただろう。

デーモンの滞在エリアは完全に崩れ去って探索不能だったので、オレはダーク・メイジを中心に調べていくことにした。そしていくつかのマナ・ストーンを回収した。マスキロが使いたがるとは思えなかったが、残された魔力によっては高く売れるかもしれない。オレは路銀(ろぎん)の足しにしようと、マナ・ストーンを(ふところ)に滑り込ませた。


さて、その探索も概ね煮詰まってきたので、オレはモンスター・キャンプの端の方まで行ってぶらぶらしていた。

そこで1体の死体が横たわっているのに気付いた。

魔力が込められていたためか、焼け残った黒いローブにその死体は包まれていた。大きさはオレたち人間と変わらない。以前モンスター・キャンプの酒場で情報を得たダーク・メイジの死体であろうと思われた。

ひっくり返して仰向けにして、オレは簡単にそのダーク・メイジの所持品を物色した。

魔法の(ワンド)は失われていたが、指には指輪が一つ()められていた。俺は念のため指輪を外して自分の服にゴシゴシと(こす)りつけて磨いた後、太陽の光を当てて表面を確認した。

金無垢のマットな指輪で、かなり太く、それは彼の中指に嵌められていた。指輪の一部が平たくなっており、そこには刻印がなされていた。詳しくは分からないが羽根が生えた動物のような意匠だった。

俺はこの指輪は何気なく懐に入れた。別に売り物にしようというわけではなく、単なる気まぐれに過ぎない。ダーク・メイジの手の指は指輪を取り上げてすぐに崩れ去った。続いて彼の黒焦げの顔も風化していったが、消え去る直前にその顔が少し笑ったような気がした。


オレたちはまたモンスター・キャンプの中心部に集まった。

「何か気になることはあったか?」

と皆で確認し合ったが、特別な情報は出てこなかった。

オレは一応ダーク・メイジの話を伝えた。

マスキロは、

「そのダーク・メイジが倒れていた場所が気になるな。あの魔法が彼らに降り注ぐ前に持ち場をはなれていたことになるのではないか?」

と言った。

「しかし結局雷に撃たれて死んだのだから、昨晩のことを本拠地に伝えようとしたのでわけではないようだ。そもそもゲネオスが”あれ”をやるまで戦況はモンスター有利だったからな」

オレたちは再び崖に刻まれた階段を通って、パランクスの砦に戻った。

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