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セント……起動

俺とビッグスライムとの戦闘が始まった。


ザザザッ!!!


ビッグスライムが一本のでかい触手を伸ばしてくるが俺は地面を蹴り空中に飛び上がり、後ろへと下がる。


「なるほど……。どうやら、現実世界でもゲーム内の身体能力で動けるみたいだな」


この靴の飛躍力MAXのお陰だろう。体が軽々と浮かび上がる。少し体を動かしただけでもわかったが、瞬発力、スピード全ても最大である。クロのデータを受け継いでいるから全てのステータスがMAXで全ての攻撃、スキル、魔法が使えることも保障済みだ。


ビッグスライムは避けられたことが悔しかったのか何本もの細かい触手を伸ばしてくる。

俺は左に帯刀していたWMSにおいて最強の光の剣”エクスかリバー”を抜刀し、何本もの触手を高速で細胞単位まで切り刻んでいく。こいつは合体する前のスライムの大きさ、つまりバレーボール以下の大きさに切り刻まれると復活できないのである。


「すごい、なんて早さなの……」


魔須美は信じられないものを見ているかのような顔をしている。それもそうだ。抜刀、剣術のスキルも最大値で、それに速度も上乗せされている。


次々に自分の体が減っていくのを見てビッグスライムも分が悪いと思ったのか逃げ出そうとしている。


「逃がさねぇよ」


俺は高速移動のスキルを使いスライムの前に立ちふさがる。ビッグスライムは俺を見るなり、ブリザードランスを連射してくる。

土砂降りの雨が横向きに降っているように氷の槍は俺に向かって飛んでくる。

しかし、俺はそれらを全て、剣の持っていない左手で払いのける。そして実力差を見せ付けるために最後の一本を鷲掴み、それをへし折る。そしてビッグスライムを立方体型のバリアで逃がさないよう四方八方を包み込む。


「お前はその中で業火に焼かれろ。ファイアーインパクト!!!!」


俺は火属性魔法のファイアーインパクトを発動させる。これは、目標物を爆発させる火属性魔法の中では火力が高いものである。

バリアの中は爆発が繰り返されビッグスライムは跡形もなくなってしまう。


「す、すごい……、自分のジョブである勇者の他に、剣士そして強力な魔法も使えるなんて……」


俺は、歩いて遊太に近づく。


「戦斗、何する気?」


「決まってるだろ。遊太を復活させる」


俺はビッグスライムを倒した後、興味をなくしたかのように遊太が光の粒子となって消えた場所に近づいていく。WMSに呪文”蘇生”が存在する。WMSは基本体力がなくなったらゲームオーバー扱いでセーブしたところから始まってしまう。しかし、パーティー内にいる魔法使いの内一人だけは一度のバトルで一回だけそれを使うことができる。俺は、蘇生をしようと呪文を唱える。


「リライフ!!」


なにも起きない……


「リライフ!!」


何かが現れる気配もない。


「くそっ!!リライフ!!リライフリライフリライフ!!」


「お兄ちゃんはもう生き返らないよ……」


われも忘れたかのように呪文を唱えまくる俺に遊太の妹が、つぶやく。


「ど、どうしてだい?また、復活の呪文を使えば……」


「お兄ちゃんが私を助ける道中で倒れている人たちに復活の呪文を使っていたの……。けれど、誰一人として目を覚まさなかったの」


「う、うそだ……」


「本当よ……。それに、ログインしている人、していない人関係なしにある一定の時間が過ぎれば光となってみんな消滅するわ」


「うそだ、うそだっ!!」


遊太の体が光だし、光の粒子へと変わっていく。


「おい、なんでだよ。なに消え始めてんだよ。また一緒に荒らしまくろうぜ。まだやり残したこといっぱいあるだろ」


その時、水風船がはじけるように全てが光へと変わり、はじけ飛んで行ってしまう。


「は、はぁ……?」


頭では既にわかっていたことなのに、小さな期待が打ち砕かれたとき、俺の中の感情がまた爆発した。


「うわあああああああああああああああああああ!!!!」


俺は大事なものを二つ失った十年後の誕生日に新しく出来た大切なものをまた失ってしまった。


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