顔合わせ
「また、ここに来ることになるとは……」
三人がラブラブ状態から戻った次の日の今日、俺と魔須美、なぎさ、女体化した結城と瑠璃ちゃんの五人で泉の近くを訪れていた。遊香ちゃんはまたしてもお留守番を自分から名乗り出ていた。
「ていうか、花を譲ってくれた時に一緒に連れ込めばよかったじゃない」
「お前らのことを優先してて、そこまで頭が回らなかったんだよ」
俺がそう言うと、三人は気まずそうに俺から視線をそらす。
「……ガァルル……どこにいるの……?」
瑠璃ちゃんが呼び掛ける。本人はできる限りの大声を出しているつもりなのだろうが全く響いていない。
しかし、近くの茂みがガサゴソと音がする。そして、ひょっこりと顔を覗かせるが、見慣れない三人がいるからか、警戒したまま出てこない。
「誰ガル……!」
「前言ってた仲間だよ。こいつらに祈りの花を使ったんだ。あの件はありがとな」
俺が礼を言うと三人もそれぞれ、感謝の言葉を述べて頭を下げる。
「そうガルか?襲ったりしないガル?」
「お前を襲う理由も利点もないから安心しろ」
「なんか、失礼ガル。なんか、わかんないけどイラつくガル!」
不貞腐れた表情で茂みから出てくる。
「今のは戦斗が悪いわよ」
魔須美に諭されるように言われるがわけわからん。
「はじめまして……かな?私は、なぎさって言います。よろしくね?」
流石、優等生。俺たちの中で一番最初にガァルルに話しかける。琉々奈の時の記憶がないことは話しているので、探り探り言葉を選んで言ったのだろう。
「僕は、結城です。よろしく」
金髪美少女となった結城がイケメンスマイルではなく、美少女スマイルが炸裂する。
しかし、ガァルルも俺と同じくそういう恥ずかしいことは苦手なのか瑠璃ちゃんの背中に隠れたままじっと見つめてる。なんていうか、年下である瑠璃ちゃんの背中にしがみついている姿は小動物を思い出させる。
結城はその光景を見ても「嫌われちゃったかなぁ」と軽く受け流している。コミュ障の俺は見習いたいと思った。
「あっ、えっと……、魔須美です。この間は助けてくれてありがとうございました。あの、えっと、よろしく」
「…………」
魔須美が最後にぺこりと頭を下げるも、ガァルルはじっと見つめたままなにも言わない。魔須美に関しては、「戦斗~、嫌われちゃったかも~」と言いながら俺に泣きついてくる。
「……仲間……だから……出来るなら……仲良くして欲しい」
瑠璃ちゃんがガァルルの頭を撫でながらお願いする。
「わ……、わかったガル!そこまで言うなら仕方ないガル!」
ガァルルは照れ臭そうにそう言った。
俺は、早速本題に入ることにした。
「ガァルル、話があるんだけどいいか?」
「なんだガル?」
改まっている俺に違和感を覚えているんだろうか。
「盗賊以外に森を荒らされたりしていないか?例えば、政府とか……?」
俺は、ガァルル、いや牙王琉々奈の父親である男の言葉を思い出しながら問いただした。





