TS
アラームや日光ではない何かを感じて目が覚める。あの後、寝てしまったらしいが俺は眠りが浅かったらしく体がだるい。というか、重い。しかも、近くで寝息が聞こえる。
普段はそんなことはないはずだと思い自分の体を見る。
「っ!?びっくりした!!!」
すると、金髪の長い髪の女の子が俺の上でぐっすりと寝ているではないか。胸は大きくその柔らかい双球が重力に従って俺に押し付けられている。
「あっ、戦斗君……、おはよう」
寝ぼけ眼を擦りながら俺の上で朝の挨拶をする。というか、俺のことを知っているらしい。
「いやいやいや、お前だれだよ」
向こうは俺を知っているとはいえ、知らない人間が不法侵入したとなると、危険な状態である。しかし、俺はなぜか戦闘体勢にはいることが出来なかった。
「だれって、僕は鑑結城だよ?」
首をかしげながら、とぼけた表情をする。
「俺の知っている鑑結城は、男なんだが」
それを、きいた金髪の長い髪の女の子はむぅーっとほっぺを膨らませて怒りの感情を表現する。
「戦斗君が性別をやり直してくれって言ったから、性格を変えたんだよ」
そう言えば、寝る前にそんなことを俺が言っていたことを思い出す。
たしかに、ダブマスでは、性別選択したあとでも、性別を変更することが出来るが現実世界で性別を変えると本物のからだの方も女体化してしまうとは思わなかった。
「いや、俺は別になんでもいいんだが、キューピットの矢の効果がきれたら絶対に後悔すると思うぞ」
「僕のこの気持ちはそんなものだと思っているの?もぅっ!!」
ぷんぷんと小動物のようにかわいく怒っているで、正直に「うん」とは言えなかった。
瑠璃ちゃんと薬草を取りに行った後のことを考えると胃が痛くなってくる。
「それに、しても戦斗君って帰宅部だったのに胸が厚くて男の子らしいんだね。僕ドキドキしてきちゃったよ……」
それの胸元をすりすりと手で優しく撫で回しだす。あまりに想定外の出来事に動揺してこっちまで変な意味で心臓がバクバクしてしまう。
「いや、そういう結城だって男だったから胸板くらいは――」
「あっ、しまった」と口に出すときにはもう遅かった。「あっ///」っと結城は艶かしい声を出し、体を一瞬ビクッとさせる。ある程度重みを持った柔らかい塊に触れてまい、ゆっさゆっさとそれは揺れだす。
「いや、これは事故であってだな、その……」
「戦斗君がしたいなら……いいよ?」
金髪のかわいい女の子が服を脱ぎ出そうとする。
「いや、そういうことはだなぁ……」
「せ、せ、せ、せ、戦斗にな、な、な、なにやってんの!!」
起きた魔須美がこちらに駆け寄ってくる。「むぅ、いいとこだったのに」となにやら不貞腐れてるのが一名いるが。
「ま、魔須美。よかった、助けてく――――」
「あたしが先にやるんだから」
「魔須美もだめだったわ」
すっかり、キューピットの矢を受けていたことを忘れてしまっていた。
「僕の邪魔をしないでくれるかな?」
「あたしの戦斗を横取りしないでくれる?」
「僕の方が早く会ってたんだよ!」
「会ってても、進展してないし交流ないでしょ。こういうのは、どれくらい濃厚な関係を過ごしてきたかが大事なの」
「僕の方が戦斗君を愛している気持ちは勝っているはずだよ」
「そんなことないわ、あたしの方が上よ」
俺を板挟みにしたまま口論を始める。今なら、浮気がバレて二人が争っているのを見ている男の気持ちの問題が出されても満点に近い回答が出来そうだ。
「なに、あたしとやりあうつもり?」
「僕だって戦斗君のためなら、剣を抜いてもいいよ」
「はい、そこまで~。スリープ!!」
俺は、二人に睡眠魔法をかける。かかった二人は糸の切れたマリオネットのように地面に崩れ落ちる。
「はぁ、治すまで眠らせとこうかな」
俺は、キリキリと痛くなってきた胃のあたりを優しく撫でた。





