氷上のフィナーレ
「再誕」
校長の杖がこちらに向けられ、光りだす。相手も動いて近づく気力はないのだろう。奴はモンスターを召喚して時間を稼ごうとしているようだ。
モンスターが出現し始める。俺は、両手にマシンガンを展開する。モンスターを一網打尽にしていく。流れ弾が校長や樹氷に数弾届く。だか、杖で振り落とされ、樹氷は少し崩れ落ちる。
なぜ、俺がマシンガンを使ったか。それは、出来るだけ動かずにこの窮地を乗り越え余力を残したのだ。
少しだけ回復した俺は、瞬時に立ち上がり走り出す。
「うあああああああ!!」
俺は、力を振り絞り、渾身の縦斬りを炸裂させる。しかし、校長は、杖を横に思いきり一振りする。
「くっ!!」
「ぬぅっ!」
二つの力が十字に入り乱れる。その結果、二人が手に持っていたものはそれぞれ吹き飛ばされる。お互いが武器を持たない、手ぶらの状態になる。
俺は、すぐさま魔法攻撃を仕掛けようとするが、相手は、その時間を与える隙を作らせなかった。校長は腕で掴みかかろうとしてくる。反射的に俺は、それから逃れるために高く高く飛び上がる。その際に、俺は、深く冷たい氷の世界の中で心まで冷えきった魔須美をとらえる。
「お主はまだ足掻くか!!」
素直に、つかもうとした腕から逃れた俺に苛立っている様子だ。
俺は、さっき目に映った光景を思い返す。舞い上がった先のすぐ横にある樹氷の鋭利なつららを思いっきり腕でもぎとる。
その刹那、
「なぬっ!」
俺は、校長の背後へとワープし、ぴったりと背中にそうようにあわせる。
「これは、魔須美とその家族の恨み――。その体でしっかりと受け止めろ!!」
「ッ……!?」
俺は、持っていたつららを背中から突き刺し、深く深く沈みこませた。





