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クラスメイトの過去③~見えだした異常者の片鱗~


「何って……?そりゃ、パーティ厳選でしょ」


結城は親友である想太の言ってることの意味がわからず呆然としていた。


「おまえどういう......」

「あぁ、ごめん。性格まで勇者の結城君はみんなパーティにいれちゃう性格だからわからないか。体力とかの能力値。また、そのプレイヤー自身の知能とか。まぁ、君たちで言うところのステータスってやつかなぁ。多角的、多面的な視点から色々な状況を想定した結果、使えないという結論に至っちゃったから殺っちゃった」


早口で声の抑揚もなく告げられる。


「殺っちゃったって、おまえ、子どもだぞ。よくそんなことが出来るなっ!!」


結城は自分の親友が、犯した残忍な罪を責めた。


「あぁ、そんなの簡単だよ。だって子供って動きが遅いじゃん」


「は?」


しかし、そのレスポンスはありえない方向から返された。まるで、自分の犯したことは当たり前のことで、結城の"よく出来るな"という、言葉は難度を表していると解釈したかのように。

結城は、いや、ここにいた、何人かは明らかに動揺を隠せないようだった。


「本当に簡単だよ。想太ってジョブ大工でしょ?三次元で指定した座標に材料と形を指定すると"ものづくり"が出来ちゃうんだ。で、子供の脳みそがある座標に八立方メートルの大きさの金で出来た立方体を作ってあげたんだ」


あっけらかんと話す。あまりの異常さに結城達は誰も口を開こうとせず動かなかった。


「う~ん、この姿だから伝わりにくいか。ごめんね。元の姿に戻るよ」


想太は左手で指パッチンをする。すると、WMSではログアウトの演出として使われていたエフェクトがはじまる。想太の周りを緑色縁の黒い文字や数字が空へと想太の周りを上がっていく。ゲーム本来ならその演出のあとには何も残らない。しかし、そこには誰かが立っていた。


「やぁ、この世界がダブマスになってからははじめましてかな?」


そこにいのは、佐藤理解というクラスメイトだった。彼は根倉と言われ、クラスでも孤立しているような人間だった。決して、こんな性格では……


「驚いてるねぇ、もしかして"理解"できない?」


佐藤はにやにやしながらきいてくる。そして、結城達の反応を楽しみながら話し出す。


「実は結城君と会う前から想太君のアバターをかりてました。想太君が電車に乗ってるときにブルードラゴンに殺されちゃったすぐ後にかな」

「は?」


結城と想太が会ったとは、ちょうどブルードラゴンが学校近くのスクランブル交差点を襲撃してすぐあとだった。その日の内に想太は学校に戻って来たのだった。


「いやー、モンスター見たときはビックリしたよ。けど、この世界の仕組みを理解してすぐログインして良かったよ。この能力が、ダブマスの世界でもこの世界でも使えるんだから」



佐藤理解は右手で指パッチンをする。すると、佐藤理解の、姿がさっき死んで消滅していった子供の姿に変わる。


「僕ね、死んだプレイヤーのアカウント乗っ取れるんだ」


満面の笑みで佐藤理解だった男の子はそう言った。その純真無垢な笑顔は今は気持ち悪く思えた。


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