クラスメイトの過去①~潜んでいた異常者~
俺ら四人は急ぎ足で廊下を歩いていた。
しかし、襲ってくるのは人間ではなく雑魚モンスターだけだった。俺が出るまでもなく、結城が勇者の剣でバッサバッサと四方八方から出てくる敵を倒していく。
「なぁ、戦斗。おまえに俺たちに何があったか話していいか?」
さっきの状況から一転して精神的に余裕も出てきたのか結城が口を開く。
「だよね~、うちらの苦労さわかってほしいし」
「わかる~」
こんな状況でも軽いノリみたいなテンションで話している。魔須美もギャルだがよく感情を露にしていた。生粋のギャルという人間の人種なのだろうか。いや、もしかしたら感情が欠落したアンドロ......
「なんか失礼なこと考えてるっしょ」
「っ!? すまん」
もしかして、エスパーだったのか?黒ギャルの翼は俺の心を読みとってくる。いや、ただ単に顔に出ていたらしい。奴らはノリや空気を合わせるといったことには敏感だ。他人の感情には少し神経質になっているのだろう。
「そんな話はいいからはやくはじめちゃおっ!」
「あぁ、そうだったな。悪い、アスミ」
白ギャルの方が結城を急かした。ていうか、アスミって名前なんだな。はじめて知った。
「そうだな、何処からはじめようか」
神妙な顔つきで結城は語りだした。
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結城たちは学校に拠点を作り、教員たちと協力して生活していたらしい。
拠点にしていた者たちは、親と音信仏になった生徒、家族みんなで避難してきた者、家が遠くて帰れない者などそれぞれ事情があったらしい。その中でも勇者のジョブである結城は戦力としては一番強かったので彼が中心になって大人たちと協力してきながらやってきたらしい。
事件が起こったのは俺が勇者御一行と別れた後の話だった。
「結城、今日も学校の近くを彷徨いてるモンスターを倒しにいこうぜ」
結城の一番の友達である想太は朝一番に気軽に今日の同行を提案していたらしい。彼のジョブは大工だったらしいが学校の修繕やら住居の改装など、一番最初に働いてくれてたのでモンスター狩りにも一緒に同行するようになった。逃げるときに壁を作ってくれたり、落とし穴を作ってくれたり役に立っていたらしい。
「よし!じゃあ今日もモンスターを退治にしに行こう!」
狩りに行くというのは宣教師である校長先生に確認を取りにいっていた。
「悪いのぅ。わしが戦えんジョブで君たちに仕事を押し付けてしまって」
「いえ、これが自分の天職なので」
「そうかのぅ......」
確認を終えた結城はいつも通りの大人も交えた大人数で近所で暴れいるゴブリンの群れを鎮圧しに向かおうとしていた。すると、
「ちょっと、待って。いつもいるはずの佐藤君がいないわ」
「えっ、佐藤?あぁ、あいつか」
結城はすぐに根倉という印象のある眼鏡をかけた彼を思い出した。なぜか彼はログインしたがらず、ずっと同じ姿のまま俺たちの狩りにいつもついてきていた。しかし、戦闘中に彼を見かけないので一度「おまえは、どんなジョブなんだ?」ときいたことがあるが、「忍者だから隠れながら倒せる」と小声で答えられたことがあるらしい。なので、その日はいてもいなくても差し支えないだろうと気にとめていなかった。
「なぎさ、彼は何処かに隠れているんじゃないか。だから、今日はこのメンツですすもう」
「そうね、想太君はどう想う?」
俺の隣にいる想太にきいてきた。
「......。あっ、あぁ......。あいつはどうせどっかに隠れてるし早く進もうぜ」
ワンテンポ遅い返事がする。
「よし、じゃあ今日も狩りを頑張るぞ」
「「「「「おーーーーー!!!!」」」」」
自分の士気をあげる声に大勢が反応する。その中には大人もいる。自分が中心になって人を動かしている。そんな状況にある自分に結城はよっていたのかもしれない。
隣でいつもとは違う不気味な笑いをしていた想太に気がつけなかったのだから。
ちょっと過去が続きます





