岐路
「山村やめろおおおおおおおお!!!」
「じゃあなっ……」
ピンが手榴弾と離れた瞬間、緑色の楕円型が爆散四散するのがスローモーションで捉えることができる。俺は素早さMAXの足で多目的ホールを瞬時に抜けようと走り出す。
後ろを視界の端で捕らえるが、山村は爆発の炎に包まれて見えなくなっているのが見えた。
俺は、魔法を唱えようとするが、スキル”危険察知”で魔法を使えば電撃が飛んでくるトラップを感知したのでそれをやめる。
背中のすぐ後ろまで炎が迫っているのを熱や”危険察知”で感じ取ることができる。”ファイター”のジョブのまま逃げたのが原因で少しだけスピードが落ちていたらしい。俺は”忍者”に変える。
しかし、それがタイムラグとなったのだろう。もう背中まで来ている。
「変わり身の術」
俺がそう唱えると、俺がいた場所には俺の大きさのわら人形だけが残り火の海に飲み込まれてしまう。
「ふぅ、危なかったか……」
俺は火が通り過ぎてから、数秒たちまわりが黒く焼けた廊下に降り立つ。変わり身の術中どこに自分がいたかは自分でもわからないが、生霊になったようにさっきの風景が見えていた。
俺は、すすだらけの道を歩き出す。少し焦げ臭い匂いが鼻につく。さっきの爆風は多目的ホールとこの廊下一帯を包んだが、校舎などの建物を破壊するほどの威力はどうやらなかったらしい。
俺は多目的ホールを抜けた廊下の奥につく。ここは、上に行く階段と下に行く階段の二つに分かれている。どちらからでも教室がある塔まではいける。
「さっきみたいに爆発して校舎の下敷きになるのも考え物だな」
俺は上の階段を選ぶ。
「魔須美、すまない。待ってろよ」
俺は元クラスメイトと攫われてどこかに幽閉されている魔須美を思い出しながら階段を上りだす。





