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ジョブチェンジ

俺は歪んだ視界の中、山村を見ていた。近づいてくる様はスローモーションに見え、ぐわんぐわんと視界が荒れてる波のように定まらない。


山村の拳を受けて軽く脳震盪を起こしているのだろうか。走馬灯のようにさっきまでのことが頭の中に考えていなくてもスクリーンに映し出される映像のように勝手に流れていく。


今思えば、どちらかが死なないとここから出れないというのは、魔須美を攫って俺と山村の二人だけになるということを示していたのかもしれない。


そうこうしているうちに、山村は俺のすぐそこまで来ていた。柔道か何か力を使う武道をやっていたのではないかというたくましい腕と足の輪郭がはっきりと目に映る。握られた拳が迫ってくるのが見える。時間の問題だろうか。


(くそっ……どうすれば……、んっ!!)


俺の体までコンマ何秒となるまで迫った時、俺の右手は勝手に動き出し拳を握るようにして受け止める。さっきまでは力で押し切られていたこんなパンチも今は蟻が噛んでくるようなものにしか思えない。


「俺のパンチを受け止めたっ!!」


山村は自分の拳が片手で防がれたことにショックを隠せないらしい。驚愕の表情と悔しさが入り混じった顔で俺を見つめる。


「わりぃな。俺、今からジョブを”ファイター”に変えるから、てめぇなんて赤子の手を捻るようにたおしてやんよ!!」


俺はそのまま握っている拳を握りつぶすように力を入れながら立ち上がる。ギギギと効果音が今にもなりだしそうに山村の拳は形を変えている。


「ぐっ!!」


山村が握っている手に向かって蹴りをいれてこようとしたので素直に離す。


「神谷……、”鋼の拳”と言われた俺の手を壊そうとするなんて言い度胸じゃないか……。こっから俺も本気で行かせてもらうぞ」


「生徒に本気出すなんてダサいな、山村ァ!いいだろう、本当の闘いはここからだぜ」



俺と山村の闘いのゴングが新たに幕を開けた。


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