招待状
「じゃあ、買い物もしたことだしカルト教団を探すとするか」
「うん」
ご機嫌な魔須美と俺は買い物を済ませて商店街を出ようとしていた。
「あれっ、お前戦斗だよな」
すると、後ろから声をかけられる。振り向くと同じクラスメイトだった気がするが名前が出てこない男の子がいる。服装は大工らしいが。
「すまんだけど、誰だっけ」
「同じクラスの想太だよ。WMS名はソータな」
あまり関わったことがないのでどう反応すればいいか困っているとあっちもそれを察したのか向こうからしゃべりだす。
「いや~、俺とクラスのみんなで集まってギルド作ったんだけどさ、戦斗がいなかったから初日になぎさが泣き出してたんだよ~。てかさ、俺たちと一緒に来ない?結城からきいたけどつよいんしょ?」
「俺はまったく強くないぞ。WMSでは無名のプレイヤー戦斗だったしな」
「ふぅ~ん。あっ、珍しく剣二個持ってるんだね。ジョブ剣士?けど勇者しか持てない剣もあるんだね」
「お前何が言いたい?」
「ごめんごめん、おこっちゃった?まぁ、いいや。暇になったら鏡が丘高校まで来てよ。俺らが歓迎するからさ」
「そうか……」
「みんな、君のこと待ってるよ。早く会いたくてうずうずしてる。あっ、そうだ。魔須美さんも大歓迎だよ。いつでも俺のところに来ていいからね」
「えっ、あ、はい……。ハハハ」
「わかったからじゃあなっ」
俺は困っている魔須美を見て強引に話を遮りここから離れようとする。
「そんなに邪険に扱わなくても大丈夫だよ……。いずれ、くることになるから……」
「えっ!?」
「じゃあっ。僕も仕事があるからさ」
俺が振り返るとソータは自分の服装を指差しながらニコリとして去っていく。
「なんなんだあいつ。仕事って政府から頼まれてる建築の話か?」
「さぁ、あたしあの人ちょっと苦手かも」
「ちょっと何したいかわかんなかったな」
「ていうか、あたし初対面なのに呼び捨てで名前呼ばれたんだけど……」
「名前っ!!まさかっ――!!?」
俺は、後ろを振り返り、ソータがさっきまでいた場所まで駆け寄り辺りを見渡す。
「くそっ、いねぇ……」
「ど、どうしたの?」
いきなり走った俺にびっくりしながらも俺の元に駆け寄る。
「魔須美、俺は今の会話の中で一言もお前の名前を呼んでない。しかし、あいつは言ったんだ。知ってたんだ」
「え?」
「なんで、あいつはお前のことを知ってるんだ。元々お前を知っていたか、俺らを監視していたかのどっちかだって話だ」
「けど、あたしあの人のこと知らないんだけど……」
「だから、後者だって話だ。俺らのことを狙っている可能性がある。俺から離れるな」
「うん……」
俺は、人ごみの中を掻き分けながら、ソータを探す。しかし、それらしき人はいない。
政府が大工を集めた休憩所にもどこにも見当たらない。
「魔須美、鏡が丘高校に向かうぞ」
「いいけど……」
俺は鏡が丘高校までのルートを検索しだす。何故だかいやな予感がして少しあせっていたのだった。





