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パジャマパーティと煩悩

「はぁ……つらい……」


神谷戦斗は、窮地に立たされていた。といっても命にかかわることではなく、居心地の悪さを感じていたのだ。


なぜかというと、久々に魔須美とその旧友と再会し、彼女らは夜を一緒に過ごす約束をしたのだ。そこまではいい。彼女たちもこんな荒廃した世界を忘れて、パジャマパーティ気分を味わえるだろうと思っていた。


しかし、なぜ俺まで、着いてきてしまったのだろうか。それは、昼間にあんなことがあったからボディガードを一日だけでもしてくれないかと頼まれてしまい、断れなかっただけであるが……


そして、今に至る。


場所はデパートである。さゆみら三人だけが、占拠しているのかと思ったが、食料もあるわ、いろいろな物が揃っているので、結構の人が寝泊りしているらしい。ここは、しきっている人間もいないようで、少人数単位で集まって固まっているのが特徴だった。


今はどんな状況かといったら、四人がいちゃいちゃして俺は寝ているふりをしている。



「さゆみ、彼氏とどうなったの?」


「うちはこんな世界になった時に、真っ先に逃げちゃったの見て冷めちゃった~」


「みかんは?」


「わたしの彼氏は連絡取れてないかな」


「わたしもぉ~、取れてないよぉ~」


「そっか、ごめんね変なこときいちゃって」


「気にしないで、今は生きることに必死だから」


「そうだよぉ~」


「てか、魔須美の彼氏かっこよくない?よくわかんない敵倒しちゃうんだよ」


「だから、彼氏じゃないってっ!!!」


なにやら、魔須美の彼氏の話がきこえる。けれど、前に付き合ったことがないって言ってたから片思い中の男の話なんだろう。かわいい女の子に思われるとかなんて羨ましい奴だ。


「どこらへんがすきなの?やっぱ強いとこ?」


「それうちも気になる~」


「え、えっと……強いとこもそうだけど、自分を救ってくれたことかな。あと、悩みに付き合ってくれてるし、見捨てれるのに見捨てなかったんだもん」


「魔須美……、けなげだね~」


「ちょっと~、さゆみ~」


後ろから黄色い声がきこえる。ごそごそときこえるから抱き合ってるのだろうか。


「やっぱ、告白しちゃいなよぉ~」


「け、けど……」


「そうだよ、彼まだフリーなんでしょ?でないとうちがとっちゃうよ」


「さゆみ~」


「わたしも候補でぇ~」


「ゆりは彼氏いるでしょ!!」


「乗り換えよっかなって~」


「だめ~」


だめだ、これ以上はプライベートもあるからきいちゃいけない気がする。


俺は、スキル”五感強化”を使いなるべく遠くの音をきくように集中する。


すると、ここの住人の一人だろうか。ラジオを聴いているのか音がきこえる。


『みなさんは、早急にWMSにログインしてください。外見だけではなくWMSと同じ能力を使えるようになります。なお、非難していない方は近くの避難所に避難してください。自衛隊や警察などが全力を尽くして市民を守りますので安全は保障されます。なお……』


どうやら、こんな状況でも政府は機能しているらしい。モンスター討伐の途中軍隊みたいなのがモンスターを駆除していたがもしかしたら本物の軍隊だったのかもしれない。


『政府が提供する店舗ではゲーム内で使えるポーションなどが販売しております。また、情報掲示板ではモンスター討伐によってもらえる金貨が載っております。ぜひモンスターを倒してお店まで足を運んでください』


『政府ではジョブ”大工”を募集しています。商店街をWMSのように復興させましょう』


話をきいていれば、避難所はあるのに自分の生活のためのお金は自分で稼いでくれとはなんとも無責任な話だ。しかし、ゲーム化している世界には経済や、政治などのシステムもゲームにあわせたほうがいいと考えているのだろう。全国民を救うことは難しいし、英断なのかもしれない。


現実世界がゲーム化してきているのだから、生き残るためにはそれに順応していかなければいけない。


俺は、一人考えを巡らせながら一夜を過ごした。


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