戦いの後
「それにしてもさっきの狙撃手はなんだったんだろうね」
魔須美が疑問に思ったことを口にする。
「ゆりが教祖のことについて話そうとしたら撃ってきたんだ。それ関連の人間に違いないだろ」
「そうだっ!ゆりは何を言おうとしてたの?」
「あっとねぇ……、私の彼氏は鏡が丘高校だったでしょ?」
「うん……」
ここまでの話は何回も狙撃手に阻害されていたので知っている。
「その彼氏のクラスにねぇ……陰キャの佐藤君って子がいるんだよねぇ。彼氏が佐藤君はWMSの中で宗教団体作ってて気持ち悪いから近づくなって言われてたんだよぉ……。」
「もう、そいつが黒幕で確定じゃねぇかよ」
こんなにあっさりと黒幕の正体がわかるとは思わなかった。こんなんでいいのだろうか。
「ていうか、戦斗鏡が丘高校だよね。その佐藤って奴知らないの?」
「いや~、佐藤なんてたくさんいるし、誰がどの佐藤さんか知らねぇからなぁ……」
「う~ん、他になんか情報ないの?」
「ごめぇ~ん。そのくらいかなぁ」
「そんな……、なんにも進展してないじゃない」
魔須美が嘆いている。俺は名前が知れたことで何が出来るか考えた。学校に行き、名簿でも見て道具にサーチをかけて、見ず知らずの佐藤さんを片っ端から話しかけるのは時間がかかるし、そもそも魔須美の両親を”サーチ”かけて出てこないなら親玉だって対策してないわけはないだろう。
しかし……、
「何も進展してないわけじゃないだろう。少しずつでも進んでいけばいいさ。名前が知れたんだ。案は必ずある」
俺はなだめるようにしゃべった。
「うん、そうだよね」
魔須美も納得したのか、頷いてくれる。
「ところで、魔須美はどうすんだ。友達とも会えたし、そっちで過ごすのか?」
「う~ん……、どうしよう……」
「彼氏さんもよんで五人で夜を過ごしちゃえば」
さゆみが提案してくる。
「ちょ、ちょっとさゆみっ!!」
「いいじゃない。二人ともお似合いよ」
「そうね」
「いや~、年齢イコール処女の魔須美にも春ですかぁ~」
なぜか、この三人は俺と魔須美をくっつけようとしているらしい。
(まぁ、冗談だろうし、彼氏云々は軽く受け流しとくか)
「まぁ、遊香と瑠璃には今日帰らないと伝えとけばいいし、一日くらいならいいぞ」
「やったーー」
今日はあんなこともあったし、疲れているだろうし休息としてガールズトークさせてやるのもいいだろう。





