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友との再会

ファイアードラゴンを倒し、元クラスメイト達と離れた俺と魔須美は、あの後、適当にいる道中のモンスターを倒していた。放置して繁殖されても困るので見つけたら片っ端からぶったおしていた。元クラスメイトと会ってムシャクシャしているのか気持ちが落ち着かず、ストレス発散という名目でたくさんのモンスターをやっていく。といっても、C、Dランクしかここら辺にはいないのだが……。


いつくらい経ったのだろうか。気がつくと、太陽が沈みかけるまで集中していたらしい。


「これで、百体目かなっ」


こちらにドヤ顔でピースをしながら誇らしそうに胸をはる。


「そっか。よかったな」


「ちょっと、すこしは興味持って、リアクションしてよ!!”百体かすごいな”とか、”百体か、俺なんて千体だぜ”とかさ!なんでもいいからコミュニケーションのキャッチボールしようよ」


「魔須美は今まで食べたご飯粒の数を覚えているか?」


「なんで、キャッチボールで人がとりにくいような変化球投げてくるのよっ!!」


遊太とクロのアカウントで討伐数ランカーになったときも倒すことに集中していて、何のモンスターを何体倒したかなんて、気にしたことなんてなかった。今思えばあのときからWMSのモンスターを倒してストレス発散していたのだと気がついた。


「というか、日も暮れてきたし今日は帰るか?それとももうちょっと粘るか?」


俺は、魔須美に問いかける。今日の目的は駅方面でなぎさたちと会うわけではなく、魔須美の両親の情報を手に入れるためである。モンスター討伐中何人かのハンターやパーティと遭遇したが、誰一人として宗教団体のことは知らなかった。夜のモンスターを狩る専門の人とかもいるので、新しい人とエンカウントする確立は上がるが、昼間よりも活動する人はぐっと減る。

昼間のプレイヤーは話をきく限り、でっかい建物や避難所に指定されていた場所に集まって寝泊りしているらしい。社会的には失礼だが、大体午後六時くらいであろうこの時間に避難所を訪れて聞き込みするのもありっちゃありである。


「う~ん……、遊香ちゃんや瑠璃ちゃんが待ってるから今日はもう帰ろっか?」


二人に気を利かせているらしい。


「俺がテレパシーでそのことについては伝えるからまだ続けたいなら別にいいんだぞ」


「う~ん」


よっぽど迷っているらしい。


「あれっ、魔須美じゃん」


「ほんとだぁ~」


「おーい魔須美~」


すると、若い女の子の声がきこえる。


「あっ、さゆみ~、ゆり~、みかん会いたかったよぉ~」


魔須美が手を振りながら彼女たちに歩み寄って三人に抱きつく。

ギャルメイクをしてパーマをかけているのがさゆみという女の子だろう。ジョブは剣士かな。のほほんとした感じのゆりと呼ばれているのは魔法使いだろう。帽子と格好でわかる。みかんという人はポニーテールをしていて、チャイナドレスを着ている。ジョブはファイターだろう。

というか、このパーティは魔法使いが魔須美も入れて二人もいるパーティなんだな……


「うちらも心配したんだからね!」


「そうだよぉ~。さゆみちゃんもみかんちゃんも昨日の晩泣いてたよぉ~」


「そ、それ言わないでよっ!!」


「アハ八ッ!!けどみんな無事でよかった」


「あれっ、そこに立ってるのは彼氏さん?」


「さ、さゆみっ!!」


楽しそうな女子トークが始まりそうだったが、話題が俺に変わる。


「ヒューヒュー!年齢イコール処女だった魔須美もついに解禁ですか」


「み、みかん。変なこといわないで!!」


「いや盛り上がっているとこすまんが、俺は彼氏なんかじゃないぞ」


「も、もうっ!!少しは恥ずかしがってもいいじゃない!!!」


「あ~らら」


俺は、誤解されてもまずいので否定しただけなのに魔須美ににらまれる。どうすりゃ良かったっていうんだ。ここは、話の流れを変えよう。


「ところで、君たちはどこで寝泊りしてるんだ?避難所か?」


「うちらはでっかいデパートなんだよね」


「寝具とかも置いてあるから困らないんだ」


さゆみとみかんが俺の質問に答える。


「そうか、それでもう一つききたいんだが、カルト教団みたいな奴らを見たことないか?」


「う~ん、いたっけなぁ」


「それは、私知ってるよぉ~。私の彼氏が鏡が丘高校の……」


ゆりが俺の高校名を出した瞬間、俺のスキル”危険察知”が作動する。

対プレイヤーにおいて、攻撃アクションやトラップなどが半径二メートル以内に向けられて時、感知する能力である。


バキューンッ!!!!


「危ないっ!!!」


「きゃっ!」


俺はゆりに飛び掛りそのままの力で押し倒す。ゆりの頭があった場所を銃弾が流れていくのが見えた。


「なになに!!」


さゆみは突然の出来事に混乱している様で、あたふたしている。みかんも突然の出来事で開いた口がふさがらず呆然と立ち尽くしている。魔須美は俺とゆりの状況を見て口をパクパクしている。心情が一番読めん。


「大丈夫か」


「あっ、うんっ……大丈夫だよぉ……」


俺は地面に押し倒している状態のゆりの顔を直視する。


「ち、近い!!しかも床ドンしないで。と、とにかく、二回目の発泡があるかもだから離れて」


魔須美があわてた様に俺を引き離す。俺はすぐさま銃の軌道を辿って発射されたと思わしき方向を見る。どうやら、ここはビル街にあるスクランブル交差点の真ん中だから撃ったと思わしきビルの候補を一つに絞るのは難しい。


廃れたビルが立ち並ぶ静かなこの状況は緊迫感を促進させる。まるで、見えない敵に囲まれてどこからでも攻撃可能な状態で狙われている気分だ。

女子三人組はまとまって体を抱き合っているが、魔須美は俺の裾を軽くぎゅっとつかんでいる。


バキューーーーーーンッ!!


また銃の発砲した音がきこえるが、見えない。いや、後ろだ。

俺は、その考えに至り、後ろを振り返り小型ナイフを練成して銃弾を真っ二つに斬る。発砲音がきこえてからこの間わずかコンマ1秒。


「えっ、なになに」


俺以外のみんなは困惑している。最初の銃弾が飛んできた方向とはまったくの反対の方向から飛んできたからである。俺は、割った銃弾の欠片をさわり、スキル”サーチ”を使う。しかし、サーチ外となってしまう。一つ目の銃弾も手の届く範囲にあるから”サーチ”をかけたが所有者が同一人物だということがわかった。


「あたしたちを狙っているのが複数人いるってこと?」


「いや、違う。サーチをかけたが、同じ人物が撃ってきてる」


「じゃあ、なんで、逆の方向から飛んできたの?」


「トリックはまだわからない……」


さらに、現場は緊迫した空気に変わる。見えない狙撃手(スナイパー)はまるで、俺らをあざ笑っているかのように感じた。


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