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決別の時~ファイアードラゴンを荒らす~

「無茶だ、君なんかが敵う相手じゃ……」


「結城……、お前は負けたんだ、だから引っ込んでろ。そして、こいつは今から俺の獲物だ!!」


警告の言葉は俺によって一括される。


ガルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!キシャアアアアアア!!!!!!


「こい、クソドラゴン!!」


威嚇で声を張り上げるファイアードラゴンを俺は挑発する。奴は俺の敵意を読み取ったのか、真正面から突っ込んでこようと地面を揺らしながら近づいてくる。


俺は、後ろになぎさたちがいるので避けずに、バリアを張り押し返す。


「嘘だろあいつが、あの……底辺だった、戦斗だぞ……」


俺の後ろから結城一行の誰かが本音を漏らしている。今はそんなことなんてどうでもいい。目の前のでかいトカゲに集中するだけだ。


バリアで押し返されたドラゴンは体制を崩した後、すぐに右前足の爪で俺の肉を抉ろうと前足を伸ばしてくる。俺はそれを軽々と交わし、ドラゴンの左側部につく。ドラゴンは肉食の動物と同じく体がでかく横の視界が狭く、見えない範囲が多いので横の動作に反応しづらい。俺はその生体を利用してエクスカリバーを抜き、横っ腹を斬りつける。鋭度、硬さともに備えているので、最高の切れ味を出せる俺の剣はドラゴンの固い皮膚をも傷つけ肉片と赤い鮮血を飛び散らせる。


グギャアアアアアアア!


ドラゴンの悲痛な叫びがWMSに侵食されて風化したビル街に響き渡る。


「僕が傷一つつけれなかったというのに彼は……」


目の前の出来事を信じたくないという感情と嫉妬を含んだような声音で結城は恋々たる感情が泉のように溢れているようだった。


「戦斗君……、すごい」


なぎさは感心と喚起の表情で満ちている。


ドラゴンは優勢だったのがいきなり劣勢に変わったことで焦燥したのか、でかい翼を羽ばたかせ上空へと飛び立とうとしている。


「させねーよ!!!!!!」


縦斬りで左の翼を切り落とす。


ズバッ!!ドグシャ!


グギャアアアアアアアアァァァァァァァ!


地面に双翼のうちの一方が生々しい音を立てながら落ちる。さっきの叫びよりも痛々しく、大きな声がビルによって反射し木霊する。ドラゴンは片方の翼を失ったことにより、バランスを崩し右側に崩れ落ちる。


しかし、ドラゴンも最後の力を振り絞り俺の体目掛けて尻尾をぶつけようとしてくる。


「鬱陶しい!!」


俺は尻尾を斬りつける。すると、慣性の法則により、斬りつけられて繋がっていない尻尾は進行方向へと吹っ飛んでいく。


「これで終わりだ!!」


問答無用で首を斬り落とす。ドラゴンはあまりの早さに叫び声一つもあげる暇もなく絶命した。静寂の中俺は魔須美の方に向き直る。


「仕事は終わった。行くぞ」


俺の声が届いたらしく、魔須美は俺のほうに歩みを勧める。俺は、魔須美がついて来るのを確認したので結城御一行を振り返らずにこの場を去ろうとする。


「待って!戦斗君……」


俺は、振り返らないもせず、立ち止まらない。このまま引き止められてパーティに誘われてたら面倒くさいと思い無視した。しかし、なぎさは幼馴染だからなのか、俺の態度から自分と一緒に来るのを拒んだことを察したらしい。


「ありがとーーーー。またねーーーー」


今まできいたこともないような大きな叫び声が俺のも耳元まで届く。


俺は一瞬立ち止まる……


しかし、すぐに後ろを見ないで右手を軽く挙げ歩き出す。


「いいの?彼女に何か言ってあげなくても?」


「用事はすんだ。それだけだ」


俺に追いついた魔須美が顔を覗き込みながら訊ねてくる。


「けど……、戦斗の幼馴染さん……、泣いてたよ」


「なら……、尚更だ」


俺は歩む速度を変えずそのまま前にすすんでいく。まるで、通り過ぎた時計の針は戻らないかのように……


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