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予期せぬ再会

「瑠璃ちゃん、遊香ちゃん。今日も行ってくるね。じゃ、行こっか戦斗」


「了解……、ワープ!!」


「「いってらっしゃーい」」


俺たちは二人の少女に見送られて今日もワープでいつものコンビにまでワープ出かける。


「さてと、今日はどうやって探すか」


「ねぇ、戦斗は昨日土蜘蛛が言ってたこと覚えてる?」


「”おまえら食ってやるうううう”とかか?」


「違うわよ」


「ごめん、”あんたも餌になれぇぇぇぇぇ”だ」


「それも、違ああぁぁう!!!!!私が言いたいのは教祖のことに関してよ。”自分に反発するものは殺す”って言ってたじゃない」


「それ、土蜘蛛言ってねーし。俺がテレパシーで読み取っただけだし」


「あぁ~、もぅ、うっさいわね。とにかく、教祖は自分と意に反してる者は殺すってことでしょ。この前遭ったじゃない。スーパーで」


「……。あ~、もしかして言いたいのは、スーパー占拠してた不良グループか?」


「そうよそうそう」


「別に、興味なさそうにしてただけで襲ったりしないだろ」


「あるかもしれないじゃない!行ってみましょうよ」


「まぁ、行く当てもないし行ってみるか」


俺たちはコンビニから不良グループが占拠していたスーパーへと向かった。


「おぅ、お前ら何しに来た。食いもんなら渡す気ないからな」


この前とは違う不良少年が門番をしていた。どうやら、門番交代制らしい。しかし、ジョブは前の門番と同じ”盗賊”らしい。ボーダーのシャツにステテコ履いて、頭にはいかにも盗賊ですよと主張しているバンダナを巻いている。


「いや、特に。前を通りかかっただけです」


「んだと。駐車場が広くて道の真正面でもない出入り口を、道路でもねぇのに通るわけねぇだろ」


「いやぁ、偶然ってあるんですね。ハハハ」


今のこのスーパーの駐車場はWMSの草がぼうぼうと生い茂っていてぶっちゃけ初見だと、道なのか空き地なのかわからない……、とかはめんどくさくなるので突っ込まないでおく。


「それでは……失礼しま~す。おい、魔須美いくぞ」


かかわりたくなかったので、魔須美の腕を引っ張ってさっさと立ち去る。


「ちょっと、きき込まなくていいの?」


「殺されずにピンピンしてるから教祖とやらにも関与してないだろ。カルト団体が何かアクション起こさない限り見つけるのは困難だ」


「でもぉ……」


「そんなに心配なら呼び出せばいいんじゃないか?」


「そんなことできるの?」


「大声で批判しまくったらぶちギレながらこっちに嫌でも接触してくるだろ」


「もうちょっと穏便に出来ない?うちの両親がいるから下手に動きたくないし」


「う~ん。穏便にねぇ……」


前も探したようにスキル”サーチ”はあっちの検索よけかバリアでも使ってんのわからんけどヒットせず使えない。アジトもどこにあるかわからんしどうしようもない。ぶっちゃけ、手詰まり感がハンパない。


「ここら辺のモンスターでも倒しながら散策でもしないか?そしたら、なんか情報掴めるかもしれないし」


「わかった……」


「…………」


魔須美のあせる気持ちもわからんでもない。実の両親が変なカルト団体にはまってしまい、行方不明なのだから。しかし、有力な情報もなくこっちも、どうしていいかわからない。そんな時、俺はWMSだったらモンスターを倒しがてら散策してミッションの情報を集めていた。俺はそれにかけることにした。


「とりあえず、土蜘蛛が化けてたおばさんが推してた駅の方に向かうとするか?」


「うん、そうしよっか」


駅の道中は雑魚モンスターのゴブリンやスライムしかいない。塀やコンクリート、建物がたったの二日で侵食、風化され今にも壊れそうな遺跡に草が生えているような光景が広がっていた。つい、三日前までは子どもたちがあそんでいたであろう公園は、錆びたジャングルジムにツタがまきつき、ブランコの鎖はなぜか千切れて落ちていた。砂場だったであろう、砂地には三輪車が転がっていて哀愁漂っている。


「ここら辺の住宅街ってWMSのツタカズラやら雑草やらが生い茂っていて、人類文化の終わりを感じるな」


「縁起でもないこと言わないで!」


すると、ドーンッと遠くから何かが落ちる音がきこえる。


「ちょとじっとしてろ!!」


「なになになに!!」


俺は強引に魔須美をお姫様抱っこする。


「え、えぇ。ちょっと」


魔須美がいきなりのことに動揺してか赤面しながら暴れだす。


「いいから黙ってろ!舌噛みたくなかったらな」


「はい……」


おとなしく縮こまった魔須美をお姫様だっこしたまま全速力で街を駆け抜ける。


「ちょっと、期待したのに……。またこれぇ……」


「今回はおんぶじゃねぇ」


「そういう問題じゃないわよ、(はじめてなんだからもっと雰囲気良くやってよね)」


「ごめん、後半が風を切る音できこえない。もっかいいってくれないか」


「ふんっ!!デリカシーのかけらもないやつ。知らないっ!!」


理不尽だ。理不尽に怒られてる。


遠くでは、何人かの人間がドラゴンと戦っているのが見える。パーティだろうか。五人くらいのパーティのようにここからだと見える。ドラゴンの遠くから聖職者や魔法使いが回復役にまわり、勇者や剣士などがドラゴンに切りかかっている。しかし、力がないからか、ドラゴンの皮が厚いからか剣は弾き飛ばされてしまう。あのドラゴンは赤いから多分ファイアードラゴンだろう。この頃火属性モンスターに縁があるようだが気のせいだろうか。


「やばいっ!!結城君!!」


「結城ーーーーー!!!」


「結城君!!!」


聖職者に続き他のパーティメンバーもあせった声を出す。それもそのはずドラゴンは大きな口を開けて火炎を吹こうとしているのだ。


「戦斗……、なんか大変なことになってるけど、助けてあげないの?」


目の前の状況を見て抱っこされている魔須美が問いかけてくる。


「はぁ、しゃあねぇな……。バリア!!!」


俺は勇者の前に壁を作り火炎放射を防いでやる。それと同時に、あちらからも見える範囲に着たので足を止める。


「お前ら大丈夫か?」


「ちょっと、終わったならおろしてよ」


俺がパーティの奴らに声をかけると、魔須美から返事がきた。


「わりぃわりぃ」


「あれっ、戦斗くん?」


すると、予想だにしたかったレスポンスが帰ってくる。


「なぎさ……」


俺の前にいる聖職者の姿をした女の子は俺の幼馴染のなぎさだった。




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