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魔須美の家へ……

「よし、魔須美いくとするか」


「うん、あたしは準備オッケーよ」


「じゃあいってくるぜ、ワープ!!」


「「いってらっしゃーい」」


俺たちはコンビニで一夜過ごした後、一旦遊太ん家の小屋に戻り、遊香ちゃんと瑠璃を置いて今に至る。ワープは行った事のある思い描ける場所でないと行く事ができないので昨日泊まったコンビニに転移した。


「よし、魔須美のある隣町へと向かうとするか」


「そうね」


「モンスターに絡まれても面倒だから透明化して行こう」


「わかったわ」


俺と魔須美はコンビニを出て歩き出す。


「緊張してるのか?」


「そりゃ……、家族が生きてるかどうかもわかんないんだし……」


(そうか……、俺は家族から忘れられようとしていた扱いだったから未練も何もなかったけど、普通は家族のこと心配するのが当たり前なんだ……)


「そういえば、戦斗の家族はどうなの?」


「俺かぁ、俺は出来心ついた頃には父親はいなかったな。生きてるのか死んでるのかもきいたことなかったな。ゲームだけさせてもらってたから気にする余裕もなかったな。あとは、母親と妹がいるが、俺のこと嫌ってるから俺がいないほうがいいだろう」


「そうなんだ……、なんかきいちゃいけないこときいたみたい……ごめん」


「いや、気にしてないから大丈夫だ」


俺と魔須美は透明化のおかげもあってモンスターと鉢合わせせずに順調にすすんでいく。すると、スーパーの前でなにやら声がする。


「お願いします、うちの子だけでも、うちの子だけでも中に入れてくれないでしょうか」


「うっせぇよババア、ここは俺らが占拠してんだよ。他のお店でも当たってくれ」


「お願いします、お願いします」


「だから何回言っても無駄だっての」


「戦斗、あれって……」


「どうやら、人間の中でも強い者が独占しているみたいだな」


ガードマンとして立っている不良っぽい奴の服装盗賊士のジョブに見える。頼んでいる親子はなんかの商人だろう。


「これ、そなたらおやめなさい」


すると、ぞろぞろと人を連れたおじいさんがやってくる。奴のジョブは宣教師とかそこらだろう。予言者として権力を握ったのだろう。


「迷える羊たちよ。そなたらは神のお導きに従ってみないかのぅ?」


「教祖様はあなた方を、私たちが経営する避難所に来ないかとお誘いになっておられます」


教祖様とやらの右隣にめがねをかけた若い秘書みたいな女性が翻訳をしている。パーティというかこの規模になるとギルドメンバーを募っているのと同じ感覚だろう。作業を分担させてモンスター討伐以外にも私生活を充実させたいみたいだ。


「ありがとうございます。衣食住が最低限でもあるのならわたしたちは大丈夫です」


「ホッホッホ!神は信じる者、正直な者を受けいれる寛容なお方じゃ。畏敬の念を持って神のお導きに従うのじゃ」


「は、はい」


「ふんっ、行き先が決まったのならさっさとここから出てってくれ」


不良の兄ちゃんはすでに興味なさそうにしている。


「行こう、魔須美。もしかしたら、魔須美の家族もどっかのギルドかパーティに属しているかもしれない」


「わかったわ」


俺らは、スーパーを後にした。


「着いたわ、ここよ」


あの後、何事もなく俺らは魔須美の言えにつく。見た目は普通の一軒家でモンスターに襲われた外傷もなくWMSのツタカズラが家の周りを少し覆っているだけに見え手入れされた後がある。

俺らは魔須美の家族に認知されるよう透明化を解く。


「おとうさーん、おかあさーん。あたしよー魔須美よあけてー。おとうさーん、おかあさーん」


「どうやら、いないみたいだな」


「おとうさん、おかあさん……」


明らかに魔須美の肩が落ちるのが見てわかる。


「あれっ、お隣さんの氷山さん?」


「あっ、近藤さん」


隣の家のおばさんが家から出てくる。外見は熟年の魔女という服装をしているのでジョブは魔法使いなのだろう。


「近藤さん、おとうさんとおかあさんはどこに行ったか知らないですか?」


「氷山さんなら、根源的神教こんげんてきしんきょう?ってとこの集会場に昨日から行ってるわよ」


「根源的神教?それってどこにあるんですか?」


「ん~、詳しくはわからないんだけどね~。昨日モンスターがここを襲ったときに彼らがモンスターを倒したから、それでみんな入信したらしいけどね~。うちは主人が勇者、息子がスナイパー、娘がアーチャーだから困らないんだけどねぇ……」


「ありがとうございます。探してみます」


「おい、そのなんたら教ってもしかしたらさっきの――」


「うん、さっきのスーパーに行ってみよう」


俺と魔須美は、さっきのスーパーに到着するが、そこには不良の門番以外は見えなかった。


「はぁ……やっぱりいなかったかぁ……。ちょっと落ち込んじゃう。まっ、生きてるってことだけでもわかったから大きな収穫かな」


「そうだな、あとはスキルで直接両親を探すなり、人に聞いてその宗教団体のアジトでも見つければ見つかるだろう」


「うん!!」


魔須美がにっこりと笑う。

良かった。魔須美の笑顔が少し取り戻せたようだ。なぜだか、俺までうれしく感じた。



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