少女鍛練・乙
博麗神社がある山の麓、おおよそ人が近づかないような林の中で光弾が煌めいた。
「物覚えが早いわね。
早苗の手伝いなんて要らなかったかもね。」
その言い方はないですよーと文句を言う緑髪の巫女を抑え霊夢は札を構えた。
葉月は僅かな説明で幻想郷における決闘方法、スペルカードルールを理解していた。
霊夢の説明は直感的なもので、おおよそ説明と呼べるような代物ではなかった(裏で緑髪の巫女が分かりにくいとぼやいていた)のだが、葉月はその説明を理解し実践してみせた。
先程の光弾がそれである。
それを見た霊夢の行動、これは宣戦布告だと葉月は捉えた。
葉月は首を縦に振ると、そのまま空へと飛んだ。
霊夢も後を追う。
そして葉月に向けて札を何枚か投げた。
札は2枚一組で弧を描くように葉月を狙う。
葉月は霊夢との距離を開けられないように横に避ける。
同じ様な自分狙いの札を何枚か避けたあとに、霊夢の言葉が風に乗って来た。
「そろそろ反撃しなさいよ!
開花『幻想の梅花』!」
霊夢のスペルが宣言された。
葉月は霊夢の方を見て息を呑んだ。
霊夢を中心に白い大輪の花が咲いていたのだ。
花びらは霊夢が先程投げた札の軌道を輪郭にしていた。
そして花びらは少しずつ拡がっているようで───。
花びらが拡がっていることに気がついたとき、既に葉月は花びらに呑まれていた。
鍛練編、まだまだ続きます。