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藁の少女

小さな里から続く石畳の先にある山の麓、湧水を湛える小さな井戸の前に少女は立っていた。


「『私はいずれまた、ここに戻ってくる』。」


少女はそう呟くと井戸へと飛び込んだ―――。





ここは日本のどこかに存在するという現世から忘れ去られたものが流れ着くところ、幻想郷。


その地には多数の妖怪とよばれるものが根城とする山、通称妖怪の山がある。


その山の中腹に緑髪に白と青の巫女服の少女がいた。


彼女は東風谷早苗。


妖怪の山の山頂にある守矢神社の巫女であり、人でありながら神である現人神と呼ばれる存在である。


彼女はどうやら散歩中のようである。


「うーん、山は緊張感漂っててあんまり散歩って気分じゃないですねー。


見かけた妖怪片っ端から退治して向こうの山でも向かいますかねー。」


物騒なことを呟いているが、幻想郷では巫女は人の信仰を得るために妖怪退治を生業としているため、別段おかしなことを言っているわけではない。


もっとも、彼女の場合、憂さ晴らしという意味で度を越しているようではあるが。


彼女の言葉が聞こえたのか、彼女の行く先には人一人すらいなかった。


そのうち彼女が言う向こうの山―――山と言うより小高い丘と言ったところなのだが―――の麓に着いた頃、彼女は不思議な光景を目の当たりにした。


山の中腹に空から女の子のようなもの―――遠くてよく見えなかったのと、幻想郷では人間の女の子に見えるものが人間でないことも多々有るため断定はできない―――が落ちていったのだ。


退屈していた巫女にとって面白そうな事態を予感させるこの出来事に巫女は目を光らせ、中腹まで文字通り飛んでいった。


中腹にたどり着くと、不自然に積み上げられた藁と、その上に横たわる少女だった。


つついてみても彼女に反応がないので、とりあえず彼女を拾い上げ、巫女の当初の目的地へと飛んでいった。

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