そこに いっぱい 来ている
病室の傍ら 。
指差し 言った 。
半端な握りこぶし で 。
もぞもぞ と こぶしを 揺らめかせて 。
僕は
結局 それに
いつもの様に 言った 。
嘘を つかなかった
つくことも できた はずなのに 。
僕には 分からん 。
あんたが 何を言っているのか ちっとも 。
○
滑舌の良し悪しは関係なく
曖昧な 内容
聞き取る側の一存で あまりに解釈が別れる言葉 。
結局 どうして 欲しいのか 具体案を欠いた訓示 。
暗示 。
僕は 開陳した 。
僕の技術を 。
逆さに振っても もう 何も ない 。
為すべき事は もはや 思い付かない 。
幸せ 賃金 。
苦痛の減退 緩和 。
美しさ 美容 。
これらを 僕に どうにか せよ というのは
荷が 重い 。
たしかに
僕は 考えるだろう 。
それらの問題について 。
○
僕は
むかし聞いた話をした 。
僕は 母の お腹に 居るとき 女の子だと 母に思われていた 。
お腹の子が 女の子と 検査で医者に言われたのか
何となく母が そう 思っていたのか は 忘れてしまった 。
まあ 。
母は僕を女の子と思っていた そうだ 。
産まれる まで 。
もしかしたら
僕が 女 だったら そう産まれていれば
全てその通りに成ったのやも しれない 。
でも ならなかった 。
僕は 一礼をした ○
席を立って 。
お大事に と 言ったかもしれない 。
その僕に
後ろ髪を 引かれるか
と 。
僕は
いいえ
と 答えて退室した 。
病室の 扉は 横滑りする 大きな扉 。
僕が出てすぐに 扉の横の 部屋番号名札に
赤い光が 点灯 点滅
音楽が 流れた 。
看護師さんが ぱたぱた と 入室した 。




