カナバサミ取って
夕焼け 。
町 町の 境 。
工場横 。
後ろから
すいません 。
つい 立ち止まった 。
お婆さん だ 。
○
ハサミを
柵の 向こうに 落とした
そうだ 。
ヘソまでの高さ 。
縦の棒だ 足掛け しずらいな 。
期せずして 柔軟の 成果を見せる 。
よっこらしょあ 。
玉袋に気を付けて 。
よっこらしょお 。
柵の向こうに どっこいしょ 。
草木が もさもさ 。
どこで どんなのだ 。
分からん 。
お婆さん が これこれ 。
僕が え どれ 分からん 。
お婆さんが これこれ 。
ああ
有った 。
拾って 渡す 。
カナバサミ 。
よっこらしょあ 。
柵を越える 。
今 刺されたら
イチコロだな 。
柵の上の 玉袋 。
両手で 支える 身体 。
ぴたり 止まる 。
△
よっこらしょあ 。
降りる 。
やれやれ
おさらば だ 。
挨拶も せず
離れた 。
農家の おばちゃんが ヨクしている帽子を被っていた 。
その せいか
顔が 思い出せない 。
まあ
何事も無かった 。
どうでも ヨイだろう 。
□
霊媒に
鬼だった
と 言われても
どうせ 確認なんて できや しないのだから 。
工場の
敷地の雑草を
勝手にちょん切る 鬼婆か 。
手が届かない所に落とすとは 間抜けな 鬼だ 。
しかし 思ったより 柵の向こう 斜面
傾斜きついな 。
草木で隠れて た




