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座睡者の唇
座睡の人は
唇を 前後で 釣り合わせる 。
上唇が 内から前方へ
下唇が 外から 後方へ
お互いに 押し合う 。
座睡の人は
下唇に 収まる 。
頭部の重みを 上唇を通して 下唇に伝える 。
座睡の人は
そうして 身体を 背筋ヨク トドメル 。
痙攣の後に 。
残響に 思いを馳せ ながら 。
頭骨の広がりを 感じながら 。
それまでの 無意味さ 。
これからの ムナシサ 。
少し の アイダ 忘れ マドロム 。
温かく 。
僕は 立ち上がる べきでは なかった 。
そう 去来を
重ねた 。
やはり
立ったか 。
それでも 。




