おお先生
道場の 先輩諸氏が
おお先生
と 呼び なさる 。
小柄な老人 。
筋骨 逞しく 同じに 動く 。
僕が 入門する時も
僕が 出門する時も
掛け声も 動きも 変わらなかった 。
おお先生 。
受験勉強の 眠気を
緑茶を飲み
真剣を 振り振り
払い 除け て
頑張ったものよ
と お話し
してくれた 。
茶を飲め と 休憩を 勧めた
おお先生。
僕は おお という 氏
の 方だと ずっと 思っていた 。
当然 違う 。
リッパナ先生
そういう 意味合いで 大 先生
と 呼ばれていた 。
これも 想像ダが。
何かの雑誌に 先生の記事が 出て
それで 気付いたんだ 。
おお じゃ ないんだ 苗字
と 。
その 記事は 先輩が コピーして
僕に 見せて くれた。
発覚は 呆気ない ものだ。
当時
すでに ほとんど の
先輩方は
白髪で 御年を召していた 。
みな 祖父の様だった 。
あれから 十二年。
筋肉の量では 未だに
記憶の中の先生方が マサル。
フィリピンの留学生が いたな
そういえば 。
彼は モノに 成った かな 。
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その時に 氏名を確認したハズ
だけど
おお先生 としか 記憶して いない 。
大学へ行く。
地元を 離れる
時
そこなら ここに連絡しろ 。
と 電話番号を 渡された 。
そこに 電話した 時
気付いたんだ。
誰の紹介か 言おう
と して
おお先生としか 記憶して いない
と 。
おお先生の紹介です 。
じゃあ 分からないよな。
仕様が ないので 間違え ました
と 電話を切った 。
道場のみんな おお先生 としか
呼ばないんだ 。
何年か それで 通して
すっかり
おお先生だと 覚えてしまった。
急に 違う
と なっても 馴染まない。
馴染まなかった 。
ずっと おお先生 と 呼ばれていた。
生きて いる
なら 今でも おお先生だろう。
紹介を
駄目にして
申し訳なかったなぁ 。
⬇
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