凡庸さ の獲得。
平凡な 工夫のされた モノ。
特に これといって 印象にノコラナイ。
雰囲気さえ オボロゲナ。
オニイサン スゴく アルイテるね。
昼下がり 歩いていると
信号を渡ってすぐ
見知らぬ子供に 声を掛けられる。
歩きながら 右から視界に入ってきた 子供。
見上げながら 目を合わせてきた。
横に並び
共に歩く。
僕は 答えた。
スゴかない。
静かに 何秒か たつ。
僕は 言った。
これで二人目だ。
前は 知らない おっさんに
何で 歩いてるの。
と 聞かれたわ。
子供は ごめんなさい。
と 言った。
そのワズカな後に
子供は ヒトリゴトを 言った。
何か秘密が と
僕は いいよ いいよ と言って
右の手袋を 外して 開いた 素手のまま 差し出した
子供の前に。
僕は 立ち止まり
子供も 立ち止まり。
お互い
少し
視線が 合う。
子供は無言。
動かない。
僕は言った。
握手すれば 分かる。
おずおずと 手を繋ぐ 子供。
ほとんど力が無い。
僕は 痙攣し 振動を
握りあった手に 伝えた。
子供の手は ぐにゃぐにゃ。
振動は 子供の肩で 霧散。
訳が分からない 子供。
そんな子供に
手を離し 顔の横に持っていき つつ
右手 親 小 指を 丸め
人指し 中 薬 指を伸ばし
ペペぺ と 手首の振幅で 三度 ツツイタ。
指の腹で。
何か スゴい。
子供は呟いた。
ふらふらと 子供は 去って行った。
左の住宅街へ 曲がって行った。
ちらりと見送ると
前に向き直り
僕は
真っ直ぐ歩いた。
彼は 有りもしない 秘密を 感じたろうか。




