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何も見ない
退屈さ。
百足に 祝福され すごすごと 家路に着くのは。
左足の小指に 触角ね。
ちょんと 触り
挨拶。
祝辞。
気安い。
お陰で 百足の 印象が 刻まれた。
その度に 百足を うっすら 思う。
痛みを 百足に 結んだ。
身体に百足を飼った日。
別に 噛まれたり 刺されたり した訳じゃない。
痙攣し 痛みを覚える その後 百足が触る。
無関係の事柄が 連続して起こり
それを 勝手に 関連付けた だけだ。
偶然を 身体が 括った。
錯覚。
霊媒は 百足が 囁いたか 尋ねる。
霊媒は いつも 尋ねる。
在りそうも無い事を。
覚えの無い事を。
いつも 答えは 決まっている。
無いよ。
何もない。
当たり前だ。
逃がしてやって
さよなら。
それだけだ。
御大層な秘密を 囁きは しない。




