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口腔の玉を撫でる。
口腔内の 圧迫された気体は 玉の様だ。
黒く 艶めいて ぬらぬらした口腔に鎮座する 錯覚の玉。
中玉の玉。
舌上に玉を置く。
飲むには大きく。
引っ掛けるには小さい。
口腔に玉を含む。
吐くには大きく。
開口には小さい。
撫でても 痺れて シンドイばかり。
右に 左に 下から 撫でる。
差し込んだ舌で。
意味は知らず。
感覚ばかり 追いかけて。
どこへ 行くのか。
玉から染み出る 痛みを 舐め
途方に暮れる。
錯覚の玉は
唾液を飲み込んで
消えた。
どこか。
脳裏。




